星野リゾート　アルツ磐梯発・旅とピアノのストーリー『旅するLovePiano』VOL.4

情景が目に浮かぶ軽快な『そりに乗って』

磐梯山麓に22コースのゲレンデが展開され、東北エリアで最大規模のスケールを誇る『星野リゾート　アルツ磐梯』。緩やかな斜面や、急斜面、パウダーなどバリエーション豊かなコースが揃い、初心者から上級者まで楽しめる東北最大級のスノーリゾートです。今回は、そんなゲレンデの入り口に位置し、フードコートや食堂があるリゾートセンターの2階フロアから、ゲレンデを見渡すように『旅するLovePiano』が設置されました。

ピアノ越しに見えるのは一面の銀世界。普段はなかなか見られない光景の中、『旅するLovePiano』を体験するのは、東京から訪れた矢萩さん一家4人。はじめに、長男の太朗さんが一人で『そりに乗って』を弾き始めます。

最初に一人で演奏する長男の太朗さん

この曲は、太朗さんがちょうどピアノ教室で、冬の課題曲として練習を始めた曲です。この日のために1か月間、テレビやゲームを我慢し、宿題以外の時間をすべて練習に当てたとのこと。矢萩さん一家は前日に、途中の郡山に宿泊したのですが、そこでもショッピングセンターでピアノを見つけ、最後の仕上げをするほど熱が入っています。その努力が報われ、まさにそりが鈴を鳴らしながら勢いよく滑っている情景が目に浮かぶよう。演奏後、周りで聞いていた人たちに向かって、「ありがとうございました」と堂々とお辞儀をする太朗さん。その少し照れながらも誇らしげな表情に、見守る我々も胸が温かくなりました。

ゲレンデを望みながらの『レット･イット･ゴー～ありのままで～』。ライブ会場のように盛り上がった親子の連弾

次は、お母さんの典子さんと一緒に連弾を披露。選んだ曲は、これも冬に相応しい映画『アナと雪の女王』の挿入歌『レット･イット･ゴー～ありのままで～』。お母さんがメロディを奏で始めると、途中から太朗さんとの掛け合いになり、親子の息の合ったアンサンブルにつながっていきます。周りで聞いていたスノーボーダーのお兄さん達が、演奏に合わせて歌い始める微笑ましい光景が生まれ、まるでライブ会場になったかのようです。

親子の連弾は太朗さんよりお母さんの方が緊張したそうです。

お母さんはご自身のピアノ経験から、お子さんがピアノに興味を持ったら、ぜひ習わせてあげたいと思っていました。お母さんの期待通り、ピアノに興味を持ってくれた太朗さんは、幼稚園の年長さんの頃からずっと個人レッスンを受けており、今回の連弾が実現しました。連弾を終えた感想をお母さんに伺うと、「私が子供の頃、一緒にピアノを習っていた弟との連弾がとても楽しかったので、息子ともやってみたいと思っていました。実際に弾いてみると意外と難しくて、頭がまっしろになりました」と、とても緊張されたご様子。一方、太朗さんは「最初は緊張したけど、一人で弾くよりもお母さんと弾く方がよかったです」と、とても満足気です。

人前でピアノを弾くことで音楽の楽しさを再発見

太朗さんは、以前から人前でピアノを弾くことが大好きでした。ピアノを始めた頃から、町中でストリートピアノを見ると、自分から進んで弾いていたそうです。最初に弾いたストリートピアノも、東京の秋葉原の駅に置かれていたヤマハの『LovePiano』でした。その際に周りからもらった拍手で自信をつけ、ストリートピアノを見つけると自ら足を向けるようになりました。

ペダルを踏むと猫が顔を出すことに気が付いた太朗さんは、「たくさん絵が描いてあって、心が明るくなるなあ」と感じたそうです。

そんな太朗さんにも、壁が立ちはだかります。去年の夏、コンクールに挑戦しました。太朗さんは毎日練習を頑張ったものの、本番で他のお子さんたちの演奏に圧倒され、「僕、もう人の前で聞きたくない」と自信を無くしてしまったそうです。そんな様子を心配したお母さんは、いろんな人に自分のピアノを聞いてもらって、もう一度演奏の楽しさを感じてほしいと思い、今回の『旅するLovePiano』を演奏することを提案しました。太朗さんは、今回の『旅するLovePiano』で上手に弾けたことで、「やっぱり、ピアノを弾くことは楽しいです。緊張もあったけど、これからもみんなに聞いてもらって、今よりもっと上手になりたいです」と、すっかりピアノの楽しさを思い出した様子。さきほどの演奏後の清々しい表情からも、音楽をまず“楽しむ”という一番大切なことが伝わってきました。

いつかは家族みんなでアンサンブル

次男の次朗さんも、幼稚園で習っているピアニカの練習をするために、自宅にあるピアノを弾いているそうです。お母さんとしては、小学校に入ったら同じ先生にピアノを習わせようかと考えているところ。「太朗は褒められるともっと頑張ろうとするのですが、次郎は嫌なことははっきり伝えるタイプなのでピアノはどうかなと思っていました。ところが、お兄ちゃんを見ていて、ピアノが弾けるとかっこいいって気持ちがあるみたいで、自分から弾き始めたので驚きました」そんなお言葉通り、お母さんと太朗さんの連弾が終わると、次朗さんも自らピアノに向かっていき、メヌエットを弾き始めました。

次朗さんもその可愛らしい手でいつも練習しているメヌエットを披露してくれました。

そんな様子を、少し離れて笑顔で見守るお父さんの栄次さん。ご自身も幼少期にエレクトーンを習っていたそうです。子どもたちが楽しんでいる姿を見て、自分も練習して、ストリートピアノもやってみたいなと思うようになったとか。お母さんも、「いつか、家族みんなで楽器をやって楽しめるようになったらいいなと思います」と、お父さんに期待しているそうです。

演奏の後は、生まれて初めてのスキー体験

矢萩さん一家が今回のアルツ磐梯への旅行で楽しみにしていたのは、『旅するLovePiano』の体験だけではありません。太朗さんも次朗さんも、これだけ積もった雪を見るのは生まれて初めて。最寄りの磐梯町の駅に着いた時から雪景色に圧倒されていたそうです。『旅するLovePiano』の体験が終わった後は、ゲレンデでソリに乗ったりして、初めての雪遊びを家族で存分に楽しみました。

スキーにも初挑戦。お子さんだけでプライベートレッスンを受けたのですが、離れた場所から見守るご両親は、そこでも兄弟それぞれの個性が出ていることを発見。「とても楽しかった」と、初挑戦の感想を語ってくれた太朗さんは、「最後にリフトに乗って上まで行ったら、湖が見えて嬉しかったです」と、アルツ磐梯が誇るゲレンデからの絶景も味わえたようです。

太朗さんと次朗さんはスキーが初体験。レッスンはとても楽しい思い出となったようです。

宿泊した磐梯山温泉ホテル（アルツ磐梯に隣接）では、屋内の温水プールで泳ぎ、夕方から夜にかけてロビーで開かれたさまざまなアクティビティに家族で参加。お部屋でも大興奮で、まさに寝るまでずっとご家族で星野リゾートを満喫しました。

いろんな場所で、音楽をきっかけにみんなを笑顔にしたい。また一つ、その夢を叶えた『旅するLovePiano』が全国を巡る旅は残すところあと3か所。みなさんも、今ここでしかできない特別な体験を求め、足を運んでみてはいかがでしょうか。

文：元田光一　写真：株式会社ペグ