北海道から沖縄まで、山や海、街、そして雪のリゾートを巡ってきた『旅するLovePiano』。今回は、高原の春の訪れを祝う「回廊の花咲くリゾナーレ」開催中の、星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳(以下、リゾナーレ八ヶ岳)のレポートをお届けします。
*『旅するLovePiano』は、星野リゾートとヤマハミュージックジャパンで開催するLovePiano(ストリートピアノ)プロジェクトの名称であり、ピアノの愛称です。
八ヶ岳で『旅するLovePiano』と再会
『旅するLovePiano』第6弾の舞台は、リゾナーレ八ヶ岳の「ピーマン通り」。色鮮やかな花の回廊に彩られ、頭上には「風に舞う花びら」がテーマの装飾も揺れています。
春の光が注ぐ八ヶ岳で、『旅するLovePiano』を体験したのは中曽根さんご一家。この場所にぴったりなお名前の一花(いちか)さん、妹の小春(こはる)さん、そしてお父さんの寛之さんとお母さんの陽子さんです。
実は中曽根さんご一家、3世代の家族旅行で8月にトマムを訪れ、雲海テラスで『旅するLovePiano』を弾いたのだとか。「八ヶ岳でも同じピアノを弾けたら、一緒に旅をしているような気持ちになれるのでは」とお母さんが応募されました。
純粋できれいな音色がすっと心に届く、一花さんらしい演奏でした(「ブルクミュラー25の練習曲」「ギロック」より4曲を演奏)。
今回の『旅するLovePiano』に向けて、一花さんがみずから選んだのは、『牧歌』『パリの花売り少女』『あさつゆ』『無邪気』の4曲。ウエブサイトでリゾナーレ八ヶ岳の写真を見て、イメージした4曲だそうです。一花さんは、図書館の利用冊数が1000冊に迫るほどの本好き。本の世界に入り込むときと同じように、イメージをふくらませながら曲を選んでくれました。
自分のタイミングですっとピアノの前に座ると、背筋をピンと伸ばして『牧歌』を弾き始めます。伸びやかな響き、澄んだメロディの波が花の絨毯に広がって、花束を抱えた花売りの少女や、回廊の花びらに光る朝露が思い浮かぶようです。4曲ともこの舞台にぴったり。曲がよく映えて、花の舞台での小さなリサイタルとなりました。
花咲く回廊に「春」と「虹」があふれて
続いて、一花さんとお父さんが連弾。一花さんが5歳から通っているというピアノ教室の先生が選んでくれたヴィヴァルディの『四季』から『春』を披露しました。
「ピアノは、自分の世界に入り込めるところが楽しさのひとつ」というお父さんと一花さん。明るく軽快な『春』が響きました。
新緑と花のハーモニーを思わせるアンサンブルが「回廊の花咲くリゾナーレ」にマッチして、リズミカルに弾む『春』の曲調がまわりを明るくしてくれました。息を合わせて演奏した父娘の連弾、きっと忘れられない思い出になることでしょう。
そして、お父さんのソロ演奏へ。優しいタッチでしっとりと演奏された『オーバー・ザ・レインボー』は、この空間を包み込むような1曲。表情豊かで、とても聴きごたえがありました。
二人の演奏を聴いて、お家では一花さんのピアノに合わせて踊っているという小春さんも、お母さんに抱っこされて一花さんとお父さんのもとへ。最後は家族で『春』をアンコールしました。最近、ヤマハ音楽教室「ぷっぷるくらぶ ドレミらんど」に通い始めたという小春さんも、かわいい手で音を出し、家族セッションに加わりました。
演奏後に、花束をイメージした綿あめ「花咲くコットンキャンディブーケ」がプレゼントされると、ご家族の笑顔も満開に。まるでコンサートのカーテンコールのようでした。
YouTubeで好きなアレンジを見つける、というお父さん。ほかにも、『ピアノマン』『ニューシネマパラダイス』『戦場のメリークリスマス』『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』を演奏されるそうです。
お母さんの抱っこで小春さんも演奏に参加。みんなで演奏した『春』も旅の思い出に花を添えました。
演奏後、「花咲くコットンキャンディブーケ」をもらって、笑顔も満開です。
『旅するLovePiano』を弾けて「嬉しかった」という一花さん。お母さんは、動画を撮りながら二人の演奏を見守りました。「お父さんの演奏はどうでしたか?」と尋ねると、一花さんが「いつもよりよかったよ」とみんなを笑わせる場面も。お母さんからは「カッコよかったです」とお父さんにエールが贈られました。
「娘がピアノを始めたので、また弾いてみようと演奏を再開しました。ピアノを弾くのはとても気持ちいいですし、楽しいです」(寛之さん)。幼稚園から大学受験前までエレクトーンを習い、高校時代には自作曲でコンクールに出場したこともあるとか。ストリートピアノにも何度か挑戦していて、『オーバー・ザ・レインボー』はトマムでも演奏したナンバーなのだそうです。
「これからもどこかで『オーバー・ザ・レインボー』を聴くと、八ヶ岳の旅のことを思い出すかもしれませんね」(陽子さん)
トマムでも弾いた『旅するLovePiano』と、花いっぱいの八ヶ岳で再会できました。
「リゾナーレキッズスタジオ」でスイーツづくりを体験
一家はその後、一花さんが体験する「リゾナーレキッズスタジオ」へ向かいました。「リゾナーレキッズスタジオ」は、スタッフからレクチャーを受けながら、子どもたちが自由にスイーツを飾りつけていくアクティビティです。一花さんは、ピクニックバスケットをイメージしたスイーツ、「バスケットシュークリーム」づくりに挑戦しました。
「バランスいいね」とスタッフに励まされながら一人で完成させた一花さん。自信にあふれた笑顔が素敵でした。
コックコートを着て、クリームを絞ったり、フルーツを飾ったりする一花さんの様子を、お父さん、お母さんは近くで静かに見守ります。できあがったら、お皿をみんなの方に向けて完成。一人でやり遂げた充実感に満ちた笑顔が印象的でした。
リゾナーレ八ヶ岳ではこのほか、「馬の学校」や「森の空中散歩」など、旅を通して子どもたちが成長できるアクティビティが豊富に用意されています。旅の計画段階から子どもが参加し、さまざまな関心の芽を育む「旅育(たびいく)」に取り組むリゾナーレ。旅先での多彩な体験が、旅の思い出をより鮮明にしてくれますね。
できあがったスイーツは、自然の中にいるようなリゾナーレキッズスタジオ内で味わうことができます。
『旅するLovePiano』が家族の大切な宝物に
お母さんによると、2日目にステンドグラス体験やプールを楽しんだ後、一花さんは『あさつゆ』を、お父さんは『ピアノマン』を再び弾いて、周囲の方たちからたくさんの拍手をもらったそうです。一花さんは、ピアノの前のシフォンケーキ屋さんに「上手だったね、またいつか弾きに来てね」と声をかけられて、とても喜んだとのこと。思い出がまたひとつ増えました。
さらには、次のレパートリーへの意欲もわいているようで、一花さんは、『あさつゆ』のジャズアレンジをつくり始めたそうです。また、趣味はミュージカル鑑賞というお母さんは、とくに好きな映画『ラ・ラ・ランド』の劇中曲を「いつか自分で弾けるようになれたら」と、思っているとか。『旅するLovePiano』が、ご家族の気持ちを動かしたのかもしれません。
お母さんは、「トマムと八ヶ岳とで、ひと続きの長い旅行ができたような気持ちになりました。リゾナーレ八ヶ岳で過ごした時間は、家族の大切な宝物になりました」と感想を寄せてくださいました。
「旅×音楽」の不思議なパワーや出会いを生む『旅するLovePiano』。5月はリゾナーレ八ヶ岳で、多くのみなさんとの出会いを待っています(『旅するLovePiano』設置は2023年5月28日まで)。美しく爽やかな「回廊の花咲くリゾナーレ」で、ぜひ『旅するLovePiano』を体験してくださいね。
文:芹澤一美
写真:八ヶ岳写真舘 淺川俊樹
星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳(山梨県北杜市小淵沢町)
自然豊かな八ヶ岳エリアのリゾートホテル「リゾナーレ八ヶ岳」は、イタリアの山岳都市を感じながら、暮らすようにくつろげる場所。石畳のメインストリート「ピーマン通り」が全長160メートルの花の装飾で彩られる「回廊の花咲くリゾナーレ」が開催中(2023年5月28日まで)
BOOKS&CAFE
お気に入りの本を読みながら、コーヒーを愉しめる「BOOKS&CAFE」でひと休み。読書が大好きな一花さんはさっそく本に夢中になりました。
プール
まるで森の中の海のような、波の出るプール「イルマーレ」。キッズエリア、カフェテリアなどが一体となった解放的な空間です。
星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳
山梨県北杜市小淵沢町
公式ウェブサイト