
ヤマハのカラフルなストリートピアノ「LovePiano®」が、全国にあるプリンスホテルの7施設をめぐる『#たびきみ~旅先で君が奏でる物語』。今回の舞台は、箱根 駒ヶ岳山頂にあるロープウェーの山頂駅舎(設置は2025年8月17 日まで)。「LovePiano®」史上もっとも標高の高い場所からレポート第二弾をお届けします。
ピアノが大好きなおばあちゃんのために
今回「LovePiano®」が設置されたのは、箱根で二番目に標高が高い「駒ヶ岳」の山頂。今年の春に『箱根 駒ヶ岳 芦ノソラ』としてリニューアルオープンしたばかりの山頂駅舎内です。
駒ヶ岳山頂へアクセスするには、芦ノ湖畔を起点とする「箱根 駒ヶ岳ロープウェー」に乗車します。全長1,800m、約7分間の空中散歩では眼下に芦ノ湖を望む絶景が広がり、ロープウェーの乗客からは「わあ…!」と歓声やため息があちらこちらから聞こえてくるほど。その中に、今回「LovePiano®」体験モニターに選ばれた綿貫さんご一家の姿もありました。

お母さんのしのぶさんと、お兄さんの優斗さん(14歳)、妹のれいなさん(13歳)に、しのぶさんの母・馬上秀子さん。親子三世代で旅行するのは今回の箱根がはじめてなんだそう。
「79歳のおばあちゃんが毎日ピアノを練習していて、いつも家に遊びに行くと演奏を聴かせてくれます。この機会にぜひ素敵なピアノを弾かせてあげたいです」と、おばあちゃん想いの優斗さんがモニターに応募してくださいました。そんな優斗さん自身も音楽が大好きで、中学校では吹奏楽部でトロンボーンを担当。さらに独学でピアノ、ギター、ハーモニカなども演奏するのだとか。今回も忙しい部活の合間を縫ってピアノを練習し、1曲を披露してくれるとのことです。
一方、おばあちゃんの秀子さんがピアノをはじめたのは、なんと70歳を過ぎてから。ある日、自宅で転倒して腕を骨折。手術後のリハビリも兼ねてピアノを習い始めたのがきっかけだそうです。はじめは譜読みもままならなかったものの、続けていくうちに少しずつ練習の成果がではじめ、今では両手で曲が弾けるまでに上達。近所でストリートピアノのイベントが開催されると、わざわざお友達を誘って弾きに行くこともあるのだそう。
「こんなに自然豊かな場所でピアノを弾くのは、長い人生の中でもはじめての経験です。しかも、孫と一緒にピアノが弾けるなんて夢のよう。決して上手ではないですが、自分自身が楽しんで演奏できたらいいなと思っています」と、意気込みを語ってくれました。
標高1,327mに響くピアノの音色
ロープウェーが山頂駅に到着すると、ひんやりとした空気に全身が包まれます。山頂の気温は18℃。この日、芦ノ湖周辺の最高気温が30℃だったことを考えると、わずか7分の移動で別世界に降り立ったような不思議な感覚がします。
「雲がつかめそう!まるで浮いてるみたい」「車の音がしないから静か」「空気も澄んでるね」と、優斗さんとれいなさんは早くも楽しそうな様子。程なくして、リニューアルしたばかりで清潔感漂う駅舎の一角に色鮮やかな「LovePiano®」1号機を見つけました。

駅舎の出入口に面した壁がガラス張りになっているため、ピアノ越しに駒ヶ岳の山頂と、そこに鎮座する「箱根元宮(はこねもとつみや)」が臨める絶好のロケーション。青い空と豊かに広がる自然の色に、カラフルなピアノがよく映えます。
呼吸を整えて、演奏のトップバッターを務めるのは優斗さんです。選んだのは、大好きなゲーム『ゼルダの伝説』の挿入曲『リーバルの詩』。
独学でピアノをはじめたという優斗さんの奏法はちょっとユニークです。譜面台にスマートフォンを置いて動画を再生、画面上に降ってくる音符に合わせて鍵盤を器用に弾いていきます。「家に電子ピアノしかないので、アップライトピアノを弾くのも、人前で演奏するのもはじめて」と事前に話していましたが、慣れないペダルにも挑戦しながら優しいタッチで音を奏でます。時おり緊張も感じられたものの、最後まで立派に弾き切った優斗さんを、ご家族があたたかく迎えます。

そして、いよいよ秀子さんの番。数あるレパートリーの中から、『星の世界』『アロハ・オエ』『君をのせて(天空の城ラピュタ)』『北国の春』の4曲を披露してくれました。ご近所のストリートピアノで場数を踏んでいるだけあり、堂々とした力強い演奏です。
その音色は駅舎内だけでなくデッキにも響き渡っていて、通りがかる観光客も足を止めて秀子さんのピアノに耳を傾けていました。

ひとしきり演奏を楽しんだ後は、全員で展望デッキに出て絶景を堪能。富士山はあいにく山頂部分が雲に隠れていて見ることができませんでしたが、眼下には芦ノ湖と箱根外輪山、遠くには相模湾がはっきりと望めました。よく晴れた日には、横浜ランドマークタワーや東京スカイツリーなども見えるそう。望遠鏡をのぞきながら、「私たちが泊まっているプリンスホテルが見えるよ!」と、れいなさん。




思わぬサプライズに感動の涙が
「LovePiano®」設置初日となったこの日、オープニングイベントとしてピアノ・YouTubetそうちゃんのコンサートが開催されました。そうちゃんは優斗さんと同い歳の中学3年生。テレビ番組の企画で「目隠しピアノ」に挑戦して注目を集め、高度な技術と独学によるアレンジ・作曲センスで多くのファンを持つ中学生ピアニストです。
しっとりとした曲調の『Over The Rainbow』にはじまり、『Summer』(作曲:久石譲)、『真夏の果実』(サザン・オールスターズ)、『打上花火』(DAOKO×米津玄師)など、“空”や“夏”をテーマにした曲を約45分間演奏。外国人観光客からお年寄り、小さなお子さんまで、その場に居合わせた誰もが繊細で透き通るようなピアノの音色に聴き入っていました。綿貫さんご一家も、最前列で鑑賞。

コンサートの終盤では、ちょうど前日が誕生日だったれいなさん、そして同じく7月生まれの秀子さんのために、そうちゃんがバースデーソングを即興アレンジで演奏する一幕も。これには二人も感動し、秀子さんの目には涙が光ります。
さらにサプライズはそれだけでなく、秀子さんが先ほど演奏した『君をのせて』を、なんとそうちゃんの提案で連弾することに。右手で秀子さんが弾くメロディーに合わせ、そうちゃんが即興で伴奏を入れてくれます。
普段は人一倍の度胸の持ち主である秀子さんも、この時ばかりは大緊張だった様子。それでも、曲が盛り上がるにつれて二人の呼吸が合っていく姿が印象的でした。
「母があんなに緊張している姿は、娘の私もはじめて見ました(笑)。こんなに素晴らしい機会を作ってくださったそうちゃんに感謝です」(しのぶさん)

素敵な旅の思い出を胸に、次の目標へ
今回の旅で綿貫さんご一家が宿泊したのは、箱根駒ヶ岳ロープウェーの山麓駅に隣接する「ザ・プリンス 箱根芦ノ湖」。自然豊かな芦ノ湖のほとりに佇むホテルは、日常の喧騒を忘れてリラックスするには最高のロケーションです。
「ホテルが本当に素敵すぎました。大浴場、露天風呂でゆっくりし、息子や娘と中庭を散歩して写真を撮ったり、夜はお部屋から芦ノ湖の花火も見ることができました(※箱根芦ノ湖夏祭りウィーク)。朝はビュッフェをいただいたのですが、どれも丁寧に作られていて最高に美味しい朝食でした。隣に卓球ができる部屋があり、4人で遊ぶこともできました。ホテルの方にも素敵な対応をしていただき、母とまた来たいねと話しています」(しのぶさん)
しのぶさんによると、箱根旅行から帰宅した後も優斗さんはピアノに向かい黙々と練習していたそうです。秀子さんは演奏を録画したビデオを見て、「いつものほうが上手く弾けたなぁ」と感想を漏らしていたとのこと。また秀子さんがストリートピアノを弾きに行く際は、優斗さんも一緒に行きたいと話しているそうです。
「今回の夢のような経験は、一生の思い出として心のアルバムにそっと刻んでおきます。これを機にもっともっと練習を重ねて上手に奏でることができればと、元気なうちはピアノを弾き続けたいと思っております」(秀子さん)
「LovePiano®」との出会いをきっかけに、14歳の優斗くんにも、79歳の秀子さんにも、いつのまにか新たな目標が生まれたよう。二人ともいつまでも仲良く、これからもピアノを弾き続けてくださいね。「LovePiano®」の旅はまだまだ続きます!
文:瀬尾麻美
写真:松岡大海(地代所プロダクション)
箱根 駒ヶ岳ロープウェー 芦ノソラ

〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根139
※施設詳細は公式ウェブサイト にてご確認ください。
ザ・プリンス 箱根芦ノ湖(神奈川県足柄下郡)


2フロアを贅沢に使用し、広い空間でフレンチを楽しめる「メインダイニングルーム ル・トリアノン」。

西洋料理・日本料理・中国料理など季節の地元食材を活かした多彩な種類のメニューを取り揃えているブッフェレストラン「レイクサイドグリル」。

箱根十七湯に数えられる蛸川温泉を源泉とした温泉施設「蛸川温泉 箱根湖畔の湯」は、目の前に芦ノ湖が広がるロケーションが開放感たっぷり。
▸ ザ・プリンス 箱根芦ノ湖
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根144
箱根の自然に溶け込むように芦ノ湖畔に佇む歴史あるホテル。「自然との調和」をコンセプトに建築界の巨匠、村野藤吾氏によって1978年に設計されました。有機的なフォルムと空間を広く見せるようにディテールまで工夫を凝らした内装は必見。