楽器とアウトドア〜ギターを持って出かけよう〜

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アウトドアやレジャーが盛んになってくるこれからの季節、屋外で気持ちよく楽器を演奏したいと思ったことはありませんか?
自然があふれるキャンプ場や海や川など、いつもとは違う開放的な環境での演奏に憧れを抱く人も多いはず。しかしその反面、楽器の取扱いや周囲への配慮など、少し不安に思う点もあるのではないでしょうか。

そこで今回は、ヤマハミュージックジャパンでギターなどの軽音楽系楽器の普及を担当し、かつアウトドアでのキャンプもご経験されてきたという北島尚彦さんに屋外へ楽器を持ち出す際のポイントや注意点を伺いました。

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ヤマハミュージックジャパン 北島尚彦さん

アウトドアに向いている楽器とは

―― 楽器はデリケートなイメージがあるのですが、そもそもキャンプ場や公園などの屋外に持って行っても大丈夫なのでしょうか?

そうですね。楽器は屋内で演奏することを前提に作られているので、あまり外に持っていくものではないのですが、工夫すれば屋外でも楽しめます。
屋外での演奏を楽しむには、(1)屋外向きの楽器を選ぶ(2)屋外ならではの取り扱いやメンテナンスの方法を知る(3)マナーを守る この3点がポイントです。

―― 具体的にはどんな楽器がアウトドアに向いていますか?

一番のおすすめはヤマハのギタレレですね。ウクレレのようなコンパクトなサイズで、ギターと同じ運指(※)で弾ける楽器です。小ぶりで軽くて持ち運びしやすく、”手軽に弾けること”をコンセプトにしているので、まさにアウトドアにぴったりではないでしょうか。値段もリーズナブルなので、高価な楽器を持ち出すのではなくギタレレをアウトドア専用の楽器として使い分けてもよいと思います。
また、弦がナイロンでできていて音がやわらかいのも特徴です。
(※)スケールが短いので実際にはギターの半音5つ上の音程になります。

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ヤマハ ギタレレ™ GL1  製品情報

その他にもやわらかい音色の楽器として、カリンバやスチールパンも屋外に合うと思います。
オカリナやハーモニカはコンパクトで持ち運びしやすいだけでなく、リード系の楽器としてギターの音色と相性がよいので、ギタレレと組み合わせて楽しむのもいいですね。

アウトドアでの楽器の取り扱いとメンテナンス

―― 楽器はどのように持ち運ぶのがよいでしょうか?

楽器を屋外に持ち運ぶ際は、傷や破損を防ぐためにハードケースに入れましょう。

また、さまざまな工夫をすることで、より安全に楽器を運ぶことができます。
例えば、楽器を買ったときに梱包されていた「段ボール」。これは楽器のサイズにもぴったりで、運搬に使えます。クッションとしての役割だけでなく吸湿効果もあるので、ぜひ購入時の状態で取っておくことをおすすめします。

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購入時に梱包されていた段ボールに入れた様子。隙間なくしっかりとおさまります。

段ボールの他にも、梱包用の緩衝材も楽器をやさしく運ぶのに役立ちます。緩衝材がない場合は、寝袋や毛布に楽器を包むなどの工夫をすると、揺れやすい車内でも安心です。

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楽器をケースごと緩衝材で包む(左)/ 車内の積載にもひと工夫(右)

―― 楽器の取り扱いで、アウトドア環境だからこそ注意すべきことはありますか?

木の楽器は水ぬれ厳禁です。水にぬれる可能性のある場所へ楽器を持ち運ぶのはやめておきましょう。 万一、雨が降ってきた場合はテントやタープなど屋根がある場所に避難させてください。

また直射日光の当たる場所、潮風が直接当たるような場所も、塗装の劣化やサビの原因となるので避けた方がよいでしょう。

屋外では弾き終わった後に、楽器をうっかり外に置き忘れないように気をつけてください。かといって、弾き終わった後の楽器を狭いテントの中に置いておくのも破損のリスクが高いのでおすすめできません。オートキャンプの場合、日が落ちたあとや就寝時は車の中に入れておくのが安心ですね。

―― 屋外に持ち出した楽器の、帰宅後のメンテナンス方法を教えてください

まずは屋外でついてしまった砂埃や油汚れなどをしっかりと落としましょう。 ギタレレの場合、弦を緩めてずらし指板が出るような状態にして指板を楽器用オイルでを拭います。またフレットはサビやすいので、屋外に持ち出した後はいつもよりも入念にお手入れをするとよいでしょう。

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このように弦を緩めてズラし、ふだん塗らない部分にもしっかりとオイルを塗りましょう。

そして屋外という過酷な気象下にあった楽器を元のコンディションに戻すため、湿度管理剤と一緒にハードケースに入れて2〜3日保管してリハビリさせましょう。湿度管理剤は楽器店で購入できます。

マナーを守って、自分も周りも気持ちよく

―― 屋外で楽器を演奏するとき、周りに迷惑とならないようにというのが大前提ではあると思うのですが、どの程度距離があれば……とか 何dB(デシベル)までの音量ならOKという基準はありますか?

これに関しては、具体的な距離やdBの数値ではなく個人の感覚による部分が大きいので、必ず周囲の人に理解をもらうべきだと考えます。必ずキャンプ場や施設のルールに従いましょう。自分の周りに人がいたら、楽器を演奏してよいか一声かけるなどの配慮が大切です。

先ほどの話で、"アウトドアに向いている楽器"としてナイロン弦のギタレレを挙げたのは、音がやわらかくて優しい=自然に溶け込みやすく人の話し声とも馴染むという理由もあるからです。こういった楽器の選択も周りへの配慮のひとつでしょう。

―― ギターにはミュート減音器なるものがあるようですが、屋外ならやはりそういったアイテムを使うのがよいのでしょうか?

屋外では ”響き渡らない音” がよいのか?というと、少し違うと私は思います。 たしかにミュート減音器を使うと音量を抑えることができるのですが音色も変わってしまい、残念ながら屋外で弾く気持ちよさは半減してしまいます。せっかくの屋外ですから「弾いていて気持ちいい」という感覚を味わいたいですよね。

個人の感覚だけで判断せずキャンプ場などのルールに従った上で、演奏を楽しみましょう。常識的な時間帯で楽しむのはもちろんのこと、自分も周りの人も気持ちよく過ごせるバランスが大切ですね。

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北島さんにお話を伺い、アウトドアで楽器を楽しむには下記がポイントであることがわかりました。

(1)屋外向きの楽器を選ぶのがおすすめ
  • コンパクトで軽量、音色が優しいギタレレなどを選ぶ。
  • 高価な楽器ではなく、アウトドア専用の楽器を用意して使い分けてもよい。
(2)屋外ならではの取り扱いやメンテナンスを行う
  • 楽器を安全に運べるように工夫する。
  • 楽器に向いていない気候や環境は避ける。
  • いつもよりも入念にメンテナンスをする。
(3)マナーを守る 
  • 周囲の人の理解を大切に。ルールやマナーを守って、周りも自分も気持ちのよい環境で演奏をする。

屋外ならではの注意点はあるものの、楽器とアウトドアは決して相性が悪いものではありません。
屋外での楽器の演奏は今までに味わったことのない新鮮な体験になりそうです。ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?

次回は北島さんから教えていただいたポイントを心得て、実際にキャンプ場で楽器演奏する様子を取材します。

文/アウトドアライター 野沢ともみ

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