みなさま、こんにちは。突然ですが幼少期に正義の味方ウルトラマンシリーズに夢中になられた方も、たくさんいらっしゃると思います。「セブン、セブン、セブン、~」と口ずさんだら、世代を超えて多くの日本人が一緒に歌える、そんな名曲を作った方が、実はオルガンのための曲やオルガンを使った合唱曲をたくさん作られていることをご存知でしたでしょうか?
皆に愛される名曲の数々を生み出された蒔田尚昊先生が、来る2021年3月30日(火)に東京都の紀尾井ホールで「蒔田尚昊 歌の世界」と題するオンラインコンサートを開催され、バイカウントクラシックオルガンのUnico CL7をご使用いただくことになりました。
今回、蒔田尚昊先生に特別インタビューへのご協力をいただきましたので、ご紹介いたします。
Q1 蒔田先生は作曲家としてたくさんの多岐にわたる素晴らしい作品を作ってこられました。「蒔田尚昊」のお名前で、多数のクラシック曲を手がけられる一方で、ウルトラマンシリーズを作曲されるときは「冬木透」という別の名前を使っておられます。二つのお名前(蒔田尚昊と冬木透)で作曲をされる時、お名前の違いを意識されることはありますでしょうか?
A1 作曲をつづけて50年。最初は二つの名前を意識していることもありましたが、今はむしろ、どちらの名前を使うかということよりも、誰に聞いてほしい、どんなシチュエーションで演奏されるかなどを意識して作るようにしています。
ウルトラマンシリーズの作曲時に、教会で弾く場面などを頭に浮かべる時もありましたよ。ウルトラセブンの39話「セブン暗殺計画」前編で、ウルトラセブンはガッツ星人に十字架にかけられて、宙吊りにされます。このシーンでオルガンの音が欲しかったのですが、残念ながら当時は手近に使える楽器がありませんでした。後年、ウルトラマンシリーズの曲の演奏でパイプオルガンを使ったこともあります。サントリーホールで交響詩「ウルトラマンコスモス」を公演したときは、サントリーホールのオルガンの大きさと迫力ある音を活かしたくて、32フィートの足鍵盤のストップを使いました。また、東京初台のオペラシティで交響詩「ウルトラセブン」を公演した時(蒔田先生は指揮)も、パイプオルガンを使いオルガニストに演奏してもらいました。
Q2 作曲家の皆様にはそれぞれ様々な曲づくりのスタイルがあると拝察いたしますが、先生はどのようにメロディーが浮かんでくるのでしょうか?
A2 私の場合、何かの拍子に思いつくというよりは、考えに考えて曲を作るようにしています。そうして書き上げた楽譜ですが、それを録音した後、世の中に公開(初演)されるまでの間が一番落ち着かない時間になりますね。
Q3 先生とオルガンの出会いを教えていただけますでしょうか?またお好きなオルガンの音色があれば教えていただけますでしょうか?
A3 オルガンとの出会いは、1954年に広島市内にある世界平和記念聖堂にケルン市からパイプオルガンが寄贈された際に、当時、私がエリザベート音大の学生だったことがきっかけで、設置のお手伝いをしたときです。私にとって、とても貴重な経験になりました。その後、米軍キャンプ内で聖歌隊の伴奏をオルガンで弾くこともありました。
オルガンの好きな音色は、コラールの主旋律を弾く、ふくらみのある柔らかいソロストップにミューテーションストップ(倍音)を加えた音色です。
Q4 蒔田先生はクリスチャンでいらっしゃるということで、宗教合唱曲や讃美歌も作曲されていますが、作曲の際にオルガンという楽器の特性をどのように意識されますか?
A4 オルガンは他の楽器とは違い、一つの楽器でオーケストラよりさらに大きい世界をみせてくれます。同じ鍵盤楽器でも、オルガンはピアノよりも1台1台の音色や響きの違いが大きいですが、私はアンサンブルをするときはピアノより合奏しやすいと思います。作曲の時も演奏の時も、オルガン自体がホール(箱)を鳴らしているのだということを意識しますね。
私がずいぶん前に作曲した「Bass Solo と Org.のためのDe Profundis」ではオルガンのパートでいろいろと冒険しました。が、ペダルについては靴底とペダルの滑り具合など、まだまだ検討の余地があると感じたものでした。
Q5 蒔田先生は、1970年大阪万博のキリスト教(バチカン市国)館オルガンコンクール作曲部門で最高位を受賞(「オルガンのための黙示録による幻想曲」)されて、日本のオルガン音楽に多大な影響を与えられました。3月30日のコンサートではパイプオルガンの代わりにバイカウントのクラシックオルガン(電子でパイプオルガンの音色を再現しているオルガン)Unico CL7をご利用いただきます。日本のオルガン環境や楽器についての感想をいただけますでしょうか?
A5 私が音楽に携わってきた数十年の間に、優れたテクニシャンのオルガニストが大勢生まれ、立派な楽器のあるホールも沢山出来ました。その点では申し分のない環境になりました。音楽を奏でる上では、楽器と建物のバランスが重要ですが、パイプオルガンについては特にそうです。
パイプオルガンがないなど充分な演奏環境が整わない場合には、バイカウントのようなクラシックオルガンはパイプオルガンの代わりになる現実的な楽器だと思います。音色も電子っぽくなくいろいろな可能性がありますが、それを引き出すために、時間をかけてこの楽器の音色や響きを知る必要があります。3月の演奏会は、その点を確認する良いチャンスかもしれませんね・・・。
Q6 今回のコンサートは、無観客で開催されますが、ファンの皆さんのためにDVDを作成されると伺いました。開催形式やDVDなどについてご紹介いただけますでしょうか?
A6 残念ながら無観客で行うことになりましたが、リアルタイムライブ配信とアーカイブ配信を予定しています。配信することでかえってより多くの方々にお聴きいただけるのでは、と期待しています。DVDも、という話も上がっていますが、細かいことは「蒔田尚昊 歌の世界」特設HP.でお知らせすることになると思いますので、どうぞご覧ください。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
インタビューはいかがでしたでしょうか?
今後もバイカウントオルガン通信申込者の方々のオルガンライフにお役立ちとなる情報をお届けけしてまいりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
コンサート・リアルタイムライブ配信のご案内
蒔田尚昊 歌の世界 ~アヴェ・マリアからウルトラマン賛歌まで~
日時:2021年3月30日(火)開場 15:45 開演 15:55
会場:紀尾井ホール
出演者:井上由紀(Sop) 大野光彦(Ten) 藤川泰彰(Ten) 古橋富士雄(合唱指揮) 江尻弘子(Org)服部容子(Pf) 岩波佳代子(Pf) 法嶋晶子(Pf) 他
曲目:第1部 宗教曲の世界「ガリラヤの風かおる丘で」
第2部 歌曲の世界 智恵子抄
第3部 合唱の世界 合唱組曲「ハーモニーの輪」 他
お問合せ:蒔田尚昊演奏会事務局 tel:03-6379-3786
料金:1000円(税抜き)
※視聴は特設HPから申し込みできます。
オルガンはミュージックアべニュー銀座アネックスのオルガン講師でいらっしゃる江尻弘子先生が演奏されます。