こんにちは。ヤマハピアノデモンストレーターの伊藤優里です。
ピアノで楽しく弾ける楽曲やアレンジを色々ご紹介していますが(前回までの記事はこちら)、今回は2025年にアニバーサリーを迎える作曲家の作品アレンジをご紹介したいと思います。
UnsplashのBoliviaInteligenteが撮影した写真
モーリス・ラヴェル(1875~1937)
フランスを代表する作曲家、ラヴェルは今年生誕150年を迎えます。
ピアノを習って色々な曲に触れていくうちに、お洒落で独特な響きに「弾いてみたい!」と憧れる方も多いのでは・・♪
演奏する・聴く、両方で人気の高い作曲家ですね!
★ボレロ(Maurice Ravel)/ピアノ(ソロ) 初級
まずは初級アレンジのボレロをご紹介します。
ラヴェル、という作曲家の名前を知らなくてもこの曲は知っている、という方も多いのではと思います。
♪Ravel : Boléro (Orchestre philharmonique de Radio France / Lionel Bringuier)
フランス放送フィルハーモニー管弦楽団による演奏です。
晩年53歳の時に作曲したバレエ音楽ですが、バレエ音楽としてだけでなく様々な場面で聴かれるくらい、広く知られた人気曲です。
オリジナルのハ長調と同じなので自然に聴く事が出来ます。本来は色々な楽器でメロディーをリレーしていく構成の曲なので、好きな楽器の音色をイメージして演奏してみてはいかがでしょうか♪また左手でテンポをキープして、時々出てくるオクターブの八分音符の動きを焦らないことがポイントです!
★亡き王女のためのパヴァーヌより(Maurice Ravel)/ピアノ(ソロ) 初級
続いてこちらも、とても人気のある曲です。
24歳の時にピアノ曲として作り、約10年後にラヴェル自身による編曲で管弦楽版も作られました。
ピアノ、管弦楽版のどちらも、ゆったりした動きの中にラヴェルの独特なハーモニーをふんだんに味わうことができるとても素敵な作品です。
ピアノ版のオリジナルは、右手がメロディーと八分音符のスタッカートを2声で弾き分けなければいけないのですが、こちらのアレンジは八分音符を左手で演奏するようになっているので、手が開くのが苦手、という方などにも弾きやすいと思います。
スタッカートの表記は特にないですが、右手のメロディーのスラーはよりなめらかに、左手は1音1音を粒立たせて坦々とすすんでいく感じ(弦楽器のピチカートのように・・)とイメージしてみても素敵なのでは、と思います♪
ジョルジュ・ビゼー(1838~1875)
続いてご紹介するのもフランスの作曲家、ビゼーは没後150年を迎えます。
先ほどご紹介したラヴェルもビゼーも同じパリ国立音楽院の出身なのですが、ビゼーが亡くなった年にラヴェルが生まれて・・・というだけでもクラシック音楽の歴史の幅を感じますね。。
ビゼーはオペラ作品を多く残していて、その中で最も有名なのがスペインを舞台にしたオペラ「カルメン」です。
作品の題名にもなっているジプシーの女性カルメンが、竜騎兵の男性を誘惑するため色気たっぷりに歌うのがこちらのハバネラです。
♪Carmen - Habanera (Bizet; Anna Caterina Antonacci, The Royal Opera)
イタリアのオペラ歌手アンナ・カテリーナ・アントナッチさんが歌うハバネラです。
オペラはイタリア語の作品が多いですが、カルメンはフランス語で歌われます。メゾソプラノの歌声とフランス語の響きがとても素敵ですね。
始めにご紹介した初~中級のアレンジは、左手のハバネラのリズムと右手の半音階の動きをシンプルに楽しむことができます。ハバネラのリズムは1拍目の重みをしっかり感じてそのあとが跳ねるようなリズムです。
★ハバネラ(「カルメン」より)(Georges Bizet)/ピアノ(ソロ) 中級
こちらの中級アレンジは、左手に途中からメロディーを担当している箇所があります。よりオペラのアリアの雰囲気として、ソリストのカルメンと、オーケストラと、合唱の重なり合いを楽しめるアレンジです。
後半に何度か出てくる突然のフォルテの箇所は、合唱パートの華やかさや厚みをイメージして演奏してみてくださいね!
ヨハン・シュトラウス二世(1825~1899)
最後はオーストリアの作曲家、ヨハン・シュトラウス二世です。今年生誕200年を迎えます。
「ワルツの王」という異名を持ち、特にウィンナ・ワルツ(ウィーン発祥のワルツ)の様式を確立した作曲家です。
★春の声(Johann Strauss II)/ピアノ(ソロ) 中級
春の声は、ヨハン・シュトラウス二世が57歳の時に作ったウィンナ・ワルツ代表曲のひとつです。オーケストラの伴奏でソプラノが歌う歌曲として作られましたが、管弦楽でも演奏されるなど広く愛されています。
春の訪れを喜ぶ歌詞で、「あたたかな風、太陽の光が差し込みみんな目覚めていく」と晴れやかに歌います。
音域が広いので譜読みは大変かもしれませんが、ピアノ演奏の魅力が感じられるとても弾きごたえがあるアレンジなので発表会など人前で演奏するのにもおすすめです!
今回は2025年がアニバーサリーイヤーの作曲家をご紹介しました。いかがでしたでしょうか?
今まで馴染みのなかった作曲家も是非この機会に、2025年もピアノの演奏を楽しんでみてくださいね!
伊藤 優里(いとう ゆり)プロフィール
神奈川県出身。4歳よりピアノを始める。
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部を経て同大学研究科修了。
第25回かながわ音楽コンクールシニアピアノ部門第1位。入賞記念コンサートにて神奈川フィルハーモニー管弦楽団とショパンのピアノ協奏曲を共演。
大学在学中よりヤマハピアノデモンストレーターとして活動を始める。
中学校時代には吹奏楽部に所属していた事から多方面の音楽に関心を持ち、本格的なクラシック曲から映画・ミュージカル音楽やジブリ、ディズニー等幅広いジャンルの演奏にも力を入れている。また近年は合唱や声楽、器楽とのアンサンブルのコンサートや、伴奏ピアニストとしても演奏活動を行っている。