街角で弾いてみたい!聴かせたい!!
弾き映えする楽曲をひっさげて、ストリートピアノへ出かけよう
いまや全国各地に存在しているストリートピアノ。駅や空港、ショッピングセンター、カフェなど、街の至るところにピアノが設置され、誰もが自由に弾くことができ、その場に集う人々が音楽を楽しむことが日常になりました。とはいえ、まだ “ストピ”での演奏デビューに二の足を踏む方も多いかもしれません。今回は、そんなみなさんの背中を押すべく、弾き映えする楽曲が詰まった楽譜集をご紹介します。
ストリートピアノが登場したのは、ここ数年のこと。あっという間に急増し、今では街の風景にすっかり溶け込んでいます。置かれているピアノは、大型ホールで演奏されてきたフルコンサートグランドピアノもあれば、震災後に修復されて蘇ったピアノ、地域の人々の手によってカラフルに彩られたピアノ、最新のデジタル技術が詰め込まれた電子ピアノなど、その形態もさまざま。それぞれの場所ごとに、ピアノ設置に至った思いや物語があります。
こうしたストリートピアノの中で、ひときわ人気を集めているのがヤマハの「LovePiano」です。「ピアノをもっと身近に感じてほしい」という思いから、2017年にプロジェクトがスタートし、オリジナルのデザインでペイントされたピアノが、全国各地に期間限定で設置されています。現在は、5台のピアノに加えて、星野リゾートとのコラボレーションで誕生した「旅するLovePiano 」が話題沸騰中!チャーミングな生き物たちがペイントされたピアノが、北は北海道から南は沖縄までを巡り、旅と音楽を愛する人々に特別な体験を提供しています。
“ストピ”に挑戦したいあなたの背中を押してくれる楽譜集、あります!
多くの方に親しまれているストリートピアノですが、盛り上がりを見せ始めた2019年以降、コロナ禍によって制限を余儀なくされる時期もありました。そうした中でも、感染症対策を施しながら、なんとか歩みを止めずに進んできた“ストピ”が、いま、再び本来の姿を取り戻しつつあります。厳しい寒さを乗り越え、季節はもうすぐ春。重いコートを脱ぎ捨て、身軽になってどこかへお出かけしたくなる今、あなたも街角で出会ったストリートピアノをかっこよく弾いてみたいと思いませんか?と言っても、「人前で弾くなんて恥ずかしい!」「どんな曲を弾いたらいいのか分からない」といった声も聞こえてきます。今回は、そんなみなさんの背中を押してくれる楽譜集をご紹介します。その名もズバリ、『ストリートピアノで映える人気曲』。“映える要素”が満載の中身について、紐解いていきましょう。
バラエティに富んだ20曲が1冊に集約!
ヤマハLovePianoプレゼンツ「ストリートピアノで映える人気曲」
ひとりで弾くのは恥ずかしいけど、友達と一緒ならチャレンジできるかも!
ヤマハLovePianoプレゼンツ「ストリートピアノで映える連弾曲」
どんな楽譜集なの?担当編集者に直撃インタビュー
今回は、楽譜集『ストリートピアノで映える人気曲』の編集担当者である高橋みどりさんに、お話を伺いました。
「この楽譜集は、ストリートピアノにお出かけになるみなさんに、『こんな曲を弾いてみませんか?』というご提案ができたらいいなと思い、制作しました。現在、5シリーズが発売されています。初級~中級は、レッスンに通っているお子さんや、趣味で続けている大人の方にも弾いていただけるアレンジです。私もピアノ経験者なのですが、中級アレンジの楽譜でしたら、ピアノの練習曲集“ツェルニー30番”に取り組んでいる方には、ちょうど良いレベルだと思います。中上級~上級は、さらに難しいアレンジになるので、ピアノ演奏に自信がある方にとっても、なかなか弾き応えのある内容です。YouTubeで配信しているピアニストに憧れている人たちにも、ぜひ挑戦してほしいです。さらに、中上級~上級向けの楽譜集には、ピアノソロ演奏だけでなく、歌やソロ楽器と一緒に演奏できるタイプの楽譜も入っています。ストリートピアノでは、ピアノソロだけでなく、ボーカルと共演したり、バイオリンやサックスなどの楽器とセッションしたりといった場面もありますよね。そんな時にも、ぜひ活用していただきたいです」
うれしいことに、どのシリーズにも連弾曲が必ず入っています。
「私自身も、ストリートピアノで弾いてみたいと思いつつも、ひとりで演奏するのは緊張するので、躊躇してしまいます。でも、お友達と一緒なら挑戦できるかなと。同じように感じている人も多いのではないかと考え、1冊の中に2曲の連弾を入れました。たとえば、ピアノソロで演奏する『トルコ行進曲』の楽譜をお持ちの方は多いと思いますが、連弾アレンジの楽譜は珍しいので、他では聴けない楽しい演奏が披露できると思います。実は、私も職場の仲間を誘って、このアレンジを練習してみました。とっても楽しかったので、いつかストリートピアノで披露できたらいいなと思っています(笑)」
ジャンルもアレンジも多彩!1冊まるごと楽しめます
この楽譜集は、1冊に20曲が収められています。どんな視点で選曲しているのでしょうか。
「バラエティに富んだ選曲にしたいと考えました。J-POP、アニメの主題歌、映画音楽、またクラシックの名曲も含まれています。いろいろなジャンルの曲が入っているので、みなさんが普段は触れていない楽曲に出会うチャンスを広げることができたらうれしいですね。その時々で話題となった楽曲も入れているのですが、面白いことに、気がついたら定番曲の仲間入りを果たしています。一時的な流行で終わらないのは、より多くの方がストリートピアノで演奏するようになり、長く愛される曲に育っている証拠なのだと実感しますね」
選曲もさることながら、気になるのはやっぱりアレンジ。どんなポイントがあるのでしょうか。
「かっこよく見せるものもあれば、美しいアレンジもあり、いろいろなバリエーションが詰まっています。また、原曲を再現するだけでなく、変化球をつけた曲も入っています。例えば、『星に願いを』のジャズ風アレンジや、スタジオジブリ映画「魔女の宅急便」の『海の見える街』をショパン風にアレンジしたものも。実際に弾いてみると、“このフレーズが変わっていて面白いな”とか、“サウンドがかっこいい!”と感じるところがたくさんあると思います。他にはない特徴があるアレンジなので、ストリートピアノで演奏すれば、聴衆が“おや?”と立ち止まって聴いてくれるかもしれません」
こうしたアレンジは、やはりプロの技ならでは。メロディーラインの表現方法や、メロディーと伴奏のコンビネーション、お洒落な和音の響きなど、 “弾き映え”のポイントが随所に施されています。編曲を手掛けたアレンジャーからのアドバイスも掲載されているので、参考にして演奏すれば、さらに映え要素が高まります。
「もうひとつ、気をつけている点があります。それは、曲の長さ。いわゆるフルサイズ・フルコーラスになると、楽譜のページ数も長きに渡りますから、覚えるのも一苦労だと思います。それに、ストリートピアノの場合、長時間弾いていると、聴衆も飽きてしまいますよね。ですから、楽曲のオイシイところを適度に演奏できるよう、コンパクトサイズにアレンジしたものを多く収載しています」
自分に合ったスタイルの楽譜を探してみよう
今回ご紹介している楽譜集の他にも、さまざまなニーズに合わせたアレンジ楽譜が発売されています。それぞれに特徴があるので、自分の好みにピッタリの楽譜が見つかるかもしれません。
自分が弾きたい楽譜を、1曲から購入することが可能。ヒット曲のアレンジ楽譜もいち早く登場するので、いますぐ流行りの曲に挑戦したい人におすすめ。
指導者や演奏のプロも含めたピアノ上級者に向けた楽譜集。ステージで映える要素が満載で、年2回の発行を心待ちにしている根強いファンも多数。
アルペジオが効果的に使われるなど、ピアノならではの美しい響きが楽しめるアレンジがコンセプト。初級・中級・上級と、レベルも明確に分かれている。
気になるアレンジ楽譜を見つけたら、どんどん挑戦してみよう!
最後に、たくさんの曲の中から、どうやって“映える曲”を選べばいいのか、高橋さんに聞きました。
「多くの人が知っている曲を演奏すれば、足を止めて聴いてもらえるチャンスが増えるので、ストリートピアノで弾く曲を選ぶ際は、その点も考慮するといいかもしれません。とはいえ、やっぱりご自分が好きな曲を選ぶのが一番だと思います。原曲がお気に入りだったり、アレンジが気に入ったりといった動機で選べば、演奏するのが楽しいはずですから。そして、楽しいという気持ちは、聴いている人たちにも必ず伝わります。そうやって思いを共有できることが、音楽の素晴らしさだと思います。ひとりでも多くの方に、ストリートピアノを通しての交流を楽しんでいただきたいですね」
これまで躊躇していたあなたも、自分が大好きな曲を選べば、ストリートピアノで楽しみながら演奏することができるはずです。お気に入りのアレンジ楽譜を見つけたら、勇気を出して、ぜひ“ストピ”デビューしてみてください!