
TOTOが2027年3月、“TOTO 50TH ANNIVERSARY TOUR”日本公演を東京・大阪で行う。『ホールド・ザ・ライン』『アフリカ』『ロザーナ』など幾多のヒット曲で知られ、半世紀のあいだ絶大な人気を誇ってきた彼ら。1980年の初来日から何度もジャパン・ツアーを行い、2023年にも日本武道館公演を含むツアーを行っている。
今回の来日メンバーはスティーヴ・ルカサー(ギター)、ジョセフ・ウィリアムス(ヴォーカル)、ウォーレン・ハム(パーカッション他)、ジョン・ピアース(ベース)、デニス・アトラス(キーボード)、ライ・シスルスウェイト(キーボード、ヴォーカル)、キース・カーロック(ドラムス)というもの。デヴィッド・ペイチは同行せず、ツアーに参加するオリジナル・メンバーはルカサーのみだ。それでもTOTOが快進撃を続けるのはライヴで披露されるポップかつ独創性の高い名曲の数々、高レベルの演奏能力などに加えて、ステージ上から感じることのできるルーク(ルカサーの愛称)の求心力によるものだろう。そのちょっとした立ち振る舞いから、彼の“人”としての魅力が滲み出てくるのだ。
ルークの怒濤のトークと経験値の高さ
筆者(山﨑)は2004年から2018年のあいだに6回ルークにインタビューしている。2年に1度にも満たない頻度ではあるが、その人柄の片鱗に触れることができたと思う。
初めてルークと話す人の多くは、その怒涛のようなトークに驚かされるだろう。英語なのにべらんめえ口調でノンストップで語り、あれよあれよという間に時間が経っていく。インタビューの場合、いくつ質問を用意しても、それをすべて消化することなく終了時間が来てしまう。
ただ、彼の喋りはいつも小気味よく、澱みがなく、ポジティヴで、ユーモアを込めて、情報満載。それを途中で遮るなんて無理というものだ。
ルークに「TOTOの衰えない人気の秘密は?」と訊いてみたことがあるが、そんなありがちな質問にも彼はこんな答えを返してくれる。
「俺たちがキュートな男の子じゃなかったことが幸いしたと思う。『ルカサーのタイトなジーンズのヒップにドッキリ!』なんて言われたことは一度もないから、賞味期限が切れることがなかったんだ。ジジイになっても音楽だけで勝負できるんだよ。TOTOは、ロックが夢を与えることができた時代の最後のバンドのひとつなんだ。俺たちより後に出てきて“クラシック”と呼ばれるバンドはどれだけいる?コールドプレイ、レディオヘッド、ミューズ……たくさんはいないだろう。とにかく俺は死ぬまでTOTOを続けるつもりだ。これ以上楽しいことは俺の人生にないからな。他に何をしたらいいか判らない。もし引退しても、1か月後にはすることがなくてギターを手にしているだろう」
そんな彼の豊富なヴォキャブラリは、セッション・ギタリストとしてのキャリアで体得したプレイの多彩な表現に通じるものがある。ザ・ビートルズについての話題となり、彼はこう語っている。「『エド・サリヴァン・ショー』でのビートルズは、アメリカ国民の音楽の聴き方を一変させたんだ。俺もまた、彼らに人生を変えられたひとりだった。映画『ハード・デイズ・ナイト』は何度見たか判らないぐらい見た。デブがドーナツを食べるのを止められないのと同じぐらい、見ずにいられなかったんだ」
それだけだと熱心なファンなのだなあ……で止まってしまうが、ルークの場合はまだ続きがある。「ジョン・レノンと共演できなかったのは残念だよ」ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ジョージ・ハリスンの3人と共演経験のある現役ミュージシャンがどれだけいるのか?……と考えると、その経験値の高さが伝わってくる。
なお彼はマイケル・ジャクソン『スリラー』、ボズ・スキャッグス『ミドル・マン』、ライオネル・リッチー『キャント・スロー・ダウン』、オリヴィア・ニュートン・ジョン『フィジカル』などスタジオ・ミュージシャンとして数多くのセッションに参加してきたが、その総作品数を訊くと「判らない」とのこと。
「1,000から2,000ぐらいかな。いちいち数えてないし、スタジオで弾いても使われなかったりするからね」
そんな場数を踏んできた彼のギターが発揮されるのがTOTOのステージなのだ。
元気を分けてくれるライヴ
1957年生まれ、来日時には69歳となるルーク。日本公演に向けたメッセージ・ビデオを見ると、髪こそ白くなったものの、相変わらず元気そうだ。しかも彼はその元気を周囲のみんなに分け与えてくれる。
筆者が初めてルークと会ったのは2004年のこと。“ブルーノート・クラブ”の日本オープン16周年を記念するスペシャル・イベント“Blue Note Tokyo 16th Anniversary”の一環で行われたヌーノ・ベッテンコートとの共演ライヴで来日したときだった。ふたりの“対談”という形式でインタビューが実現、ヌーノは最初あまり気分が乗らないのか言葉少なげだったが、ルークは初っ端から飛ばしまくり。「ヌーノと俺の共通点?ふたりとも女装癖があるってことかな。あと嫁さんが美人だってこと。ガハハハ!」とアッパーなトークに、ヌーノもエネルギーをもらったのか、さまざまな話題について雄弁に語ってくれたのが印象に残っている。
TOTOのライヴ(2020年以降のツアーは“DOGZ OF OZ”と銘打たれている)でも、ルークはそのギターで我々を元気にしてくれるだろう。2027年3月の来日公演はロックのエネルギー磁場となる。
■『TOTO 50TH ANNIVERSARY TOUR』

2027年3月22日(月・祝)大阪・Asue アリーナ大阪(大阪市中央体育館)
2027年3月23日(火)東京・有明アリーナ
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山﨑智之〔やまざき・ともゆき〕
1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,300以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検第1級、TOEIC 945点取得
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