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こんにちは。ヤマハピアノデモンストレーターの伊藤優里です。
ピアノで楽しく弾ける楽曲やアレンジを色々ご紹介していますが(前回までの記事はこちら)、今回は2026年にアニバーサリーを迎える作曲家の作品アレンジをご紹介します!
ヨハン・パッヘルベル(1653年〜1706年)
ドイツの作曲家で、オルガン奏者や教師としての顔も持っていたパッヘルベル。2026年に没後320年を迎えます。
実は今回ご紹介する中でダントツに古い時代の作曲家で、「音楽の父」と呼ばれるヨハン・セバスチャン・バッハよりも以前の時代に活躍した作曲家。さらにそのバッハのお兄さん(ヨハン・クリストフ・バッハ)はパッヘルベルの弟子だったとされています。
♪Pachelbel Canon in D Major - the original and best version.
代表曲「パッヘルベルのカノン」は、クラシックにあまり詳しくなくても聞いたことがあるという方も多いのでは♪
こちらはVoices of Musicというアメリカ・サンフランシスコで活動している団体による演奏です。
パッヘルベルの生きていた時代はまだピアノが誕生しておらず、鍵盤楽器はオルガンやチェンバロ(ピアノの先祖とも言われる楽器)などで演奏されていました。こちらの映像ではバロックオルガンが使用されているということで、当時聴かれていた音色の雰囲気を味わう事ができますね♪
★パッヘルベルのカノン(Johann Pachelbel)/ピアノ(ソロ)初級

まずは初級アレンジから。左手は冒頭の4小節が最後まで繰り返されるので、譜読みのハードルもぐっと下がりますね。
右手のメロディは8小節ごとにリズムが細かくなっていくのが譜面からも分かります。
二分音符→四分音符→八分音符→十六分音符と段階的に細かくなっていくので、リズムの勉強にもピッタリです。
★パッヘルベルのカノン(Johann Pachelbel)/ピアノ(ソロ)初級

続いてもう一つ初級アレンジをご紹介します。
こちらもヘ音記号(左手)の低い音域があまり出てこなくて、音数はそこそこありますが読み・弾きやすそうです。
伴奏の形をみると、あたまが休符というのが多く出てきていますね。前半は八分休符と八分音符のパターン、後半は四分休符と四分音符のパターンなので、片手で練習する段階でしっかりその区別をつけて一定のテンポで弾いておくと、両手で合わせた時にもスムーズに練習出来るのでは、と思います♪
★パッヘルベルのカノン(Johann Pachelbel)/初~中級

続いて初〜中級アレンジです。 実はこの曲の正式名称は「Canon in D」と言って、その名の通りオリジナルはシャープふたつのニ長調です。
どの「調性」で作曲するか、という事は、実は作曲家にとってものすごく大事な要素で、長調・短調だけでなくフラット系、シャープ系など一つずつ聴こえてくるイメージが変わると言われています。(何調は何色、というように色で表現される事も…☆)
こちらのアレンジはオリジナルと同じニ長調で作られています。
音域も少し広くなっているので、特に右手は指使いをしっかり決めて、それを守って弾くことで練習も効率よく進められますよ!
カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786年〜1826年)
ウェーバーはドイツの作曲家で、2026年に生誕240年と没後200年、というダブルアニバーサリーを迎えます。
ピアノを習う方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、ロマン派初期を代表する作曲家で「ドイツ語のオペラ」をジャンルとして確立しました。
オペラ「魔弾の射手(まだんのしゃしゅ)」は、ウェーバーが作曲したオペラの中で代表的な作品です。
原作は当時ドイツで出版された『怪談集』に収められた物語。そして舞台も当時ドイツの国土だったボヘミアの森、という事もあって、ドイツの国民的オペラとして親しまれました。
どんなお話かというと・・・
主人公は狩人のマックス。彼は恋人のアガーテ(森林官の娘)と結婚するために、明日行われる射撃大会で優勝して認めてもらわなくてはいけません。ですが最近調子を落としていてマックスは焦っていました。
そこにつけ込んだのが狩人仲間でライバルでもあるカスパール。悪魔に魂を売って手に入る「魔弾」を使えば百発百中、とそそのかします。
たしかにその魔弾は射撃手の狙ったところに必ず命中しますが、実は最後の1発だけは悪魔の望むところに命中するという恐ろしいもの。マックスはそれを知らずに魂を売ってしまいました。
一方、恋人のアガーテもその夜不吉な夢を見ます。自分が白い鳩になってマックスに撃たれてしまう夢です。
そして翌日の射撃大会。マックスの絶好調ぶりに周囲は驚いています。いよいよ最後の一発という時に、「あの白い鳩を射て」と命じられたマックス。アガーテは昨夜の夢と同じ情景が現れたことに驚き、「撃たないで!」と叫びます。しかし間に合わずマックスは魔弾を放ち・・・・結末はいかに?!
というお話です。(かなり色々なところを省きましたが・・・)
♪Weber - Ouvertüre „Der Freischütz“ | Eschenbach | SWR Symphonieorchester
そんな「魔弾の射手」の中で特に有名なのが序曲です。
こちらの映像は南西ドイツ放送交響楽団と、指揮はドイツのピアニスト・指揮者のクリストフ・エッシェンバッハによる演奏です。
曲の冒頭はボヘミアの深い森の情景を思わせるような荘厳な雰囲気から始まります。
はじめに出てくるホルンによる旋律(こちらの映像では1’20”あたり)をどこかで聴いたことがあるような…と思われた方もいらっしゃると思いますが、日本では「秋の夜半」という歌で知られています。
★オペラ「魔弾の射手」序曲より(Carl von Weber)/ピアノ(ソロ)

こちらのアレンジは左手もト音記号で書かれています。
ほとんど同じポジションで演奏出来るので弾きやすいですし、特に左手はハ長調の基本的なハーモニーで演奏できます。
両手ともト音記号なのでその分右手は少し音が高めですが、高いドの音(第3間)からさらに1オクターブ上のドの音(上第2線)までの譜読みに慣れるのにはピッタリかもしれませんね♪

続いてこちらの初~中級アレンジは、冒頭のホルンの旋律だけでなく、アガーテのアリアのテーマ(先ほどの映像では5’15”頃~のヴァイオリン)なども含まれています。
これから始まるオペラを予感させ、色々なテーマがギュッと詰め込まれた「序曲」の雰囲気を味わいながら演奏できます。
是非、様々な楽器の音色を思い浮かべながら演奏してみてくださいね♪

UnsplashのCatgirlmutantが撮影した写真
ヨハン・ブルグミュラー(1806年~1874年)
最後は打って変わって、ピアノを習う人なら必ず通る道、とも言われるブルグミュラー。ドイツの作曲家・ピアニストで2026年に生誕220年を迎えます。
代表的な作品「25の練習曲」や「18の練習曲」は、日本では今も昔もピアノを学ぶ人にとってバイブル的な存在ですね。
実はどの曲もとても奥深く、一曲一曲表題も付いているので色々な事を考えながら演奏していくだけでも楽しいのですが、今回はそんなブルグミュラーの作品をもとに作られたアレンジ作品をふたつご紹介します。
★PASTORALE FRPM“25 EASY STUDIES Op.100” パストラーレ(牧歌)“ブルクミュラー「25のやさしい練習曲」より”(国府 弘子)/ピアノ(ソロ)

ひとつ目は25の練習曲第3番「牧歌」をもとにしたアレンジです。
冒頭10小節間はいつもの「牧歌」に始まり、少しずつお洒落なジャズの響きに変化していきます。
後半は音数が増えてリズムも少し細かくなるので、テンポ設定や音楽の運び方もポイントになりそうです。
譜面にはところどころ作曲者からのメッセージもあり、譜読みを楽しくすすめられそうですね!
★進歩(ブルグミュラー25の練習曲よりアレンジver.)(F.BURGMULLER)ピアノ(ソロ)/中級

ふたつ目は25の練習曲第6番「進歩」をもとにした中級アレンジです。
この曲のオリジナルは、譜面に書かれているスタッカートやスラーなどのアーティキュレーションを意識しながら練習することが一つのテーマだと思うのですが、こちらのアレンジでもその要素が引き継がれているように思います。
ブルグミュラーのアーティキュレーションは、出版社によって少しずつ解釈が違っていたり、昔と今でも違っているところがあるようなので、たとえば大人の方は以前ご自身が学んだ時との変化を探してみる、というのも楽しみ方の一つかもしれません♪
今回は2026年がアニバーサリーイヤーの作曲家をご紹介しました。いかがでしたでしょうか?
今まで馴染みのなかった作曲家や懐かしの作品も、この機会に是非楽しんでみてくださいね!
伊藤 優里(いとう ゆり)プロフィール
神奈川県出身。4歳よりピアノを始める。
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部を経て同大学研究科修了。
第25回かながわ音楽コンクールシニアピアノ部門第1位。入賞記念コンサートにて神奈川フィルハーモニー管弦楽団とショパンのピアノ協奏曲を共演。
大学在学中よりヤマハピアノデモンストレーターとして活動を始める。
中学校時代には吹奏楽部に所属していた事から多方面の音楽に関心を持ち、本格的なクラシック曲から映画・ミュージカル音楽やジブリ、ディズニー等幅広いジャンルの演奏にも力を入れている。また近年は合唱や声楽、器楽とのアンサンブルのコンサートや、伴奏ピアニストとしても演奏活動を行っている。