
水について話したい
「98%Funk 2%Jazz」― サックスの巨匠メイシオ・パーカーの名言です。
それになぞらえるなら、管楽器から出る“水”も 「98%結露、2%唾」 (想像)と言ってしまいたい!
トロンボーンやトランペットを吹いていると、管の中に水が溜まります。演奏の合間にウォーターキーを押してポタポタと出す、あの水ですね。初めて見る人は「え、これ全部唾液!?」とびっくりするかもしれません。実際には見た目よりずっと自然な現象なので、安心して欲しい。
結露水の仕組み
ほとんどの水は 結露水 。人の息は体温に近く、この温かく湿った空気が冷たい金属の管に触れると急速に温度が下がり、水滴になります。窓ガラスに水滴がつくのと同じ原理です。管の内側に付いた水滴は演奏中に少しずつ溜まります。
もちろん少し唾液も混ざります。体感としては 98%結露水、2%唾液。この少量の唾液は、管の内側に付着する程度で、見た目ほど多くはありません。
ちょっとイメージしてみると…
和牛2%入りのハンバーグを「和牛ハンバーグ」と呼ぶようなものです。ほとんどが結露水なのに、見た目だけで「全部唾」と思われてしまう、そんな感覚です。管楽器の水も、同じように見た目と実際の中身が違うことを理解してもらえると分かりやすいでしょう。
ウォーターキー=水抜き≠唾抜き
いろいろな楽器の説明文ではウォーターキーのことを「唾抜き」と書いてあることがあります。でも実際には、管から出る水の大半は結露水。だから「唾抜き」という表現だけだと誤解が生まれやすい気がしています。そもそも何故英語から日本語に訳しただけでウォーターが唾になってしまうのか!?ぜひ、ウォーターキー=水抜き という名称を一般化していきたい!!結露水も唾液もまとめて抜くためのもの、とイメージすると安心じゃないですか?
床にこぼさない工夫
とはいえ、楽器から床にポタッと水が落ちると気になります。練習やリハーサルではペットシーツや専用マットを使うようにしています。掃除も楽になりますし、会場で「管楽器って汚い…」という印象を与えずに済みます。少量の水でも配慮することで、周りの人にも気持ちよく演奏を見てもらえます。
まとめ
管楽器から出る水は「全部唾液」ではない
大部分は結露水、ほんの少し唾液が混ざる
ウォーターキーのことは「水抜き」と言って欲しい。
奏者の皆さんは後処理に気をつけて、周りに配慮を。お客さんは怖がらず、自然体で演奏を楽しんで!
2月からスタートした和田さんの連載も、いよいよ今回が最終回となりました。
これまで情熱と知見にあふれる記事を届けていただき、本当にありがとうございました!
和田さんのこれからのご活躍を、心より応援しています。