姫森ルーナさんとみんなでつくり上げるエレクトーン『LUNA』完成!

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人気「ホロライブ」所属VTunerの​​​​​姫森ルーナさんが、ご自身の配信でエレクトーンを演奏したことがきっかけではじまった、ヤマハとのコラボレーション。2022年10月からは第二弾として、ルーナさん監修のもと、オリジナルデザインのエレクトーンを制作する企画がスタートしました。

アイデア募集の結果から、試行錯誤の末に生まれたデザインやこだわりの塗装、そして完成までを、ヤマハデザイン研究所の坂本志乃さん、企画を担当した野藤義一さんへのインタビューを交えてご紹介します。

デザイン決定までの詳細はこちらをご覧ください。

みんなでつくるエレクトーン『LUNA』プロジェクト ベースカラーと柄の決定

2022年10月に、ヤマハのWebサイト・SNSでカラーや柄・アイデアを募集して、ルーナさん監修のもと、オリジナルデザインの「エレクトーン」(非売品)を制作するプロジェクトが始動しました。「エレクトーン」本体は、ルーナさんが愛用している「ELC-02」です。

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ヤマハ エレクトーンELC-02は実際に姫森ルーナさんが配信で使用しているモデルで、分解して持ち運べる

エレクトーンのベースカラーは、ヤマハのSNS「エレクトーンステーション」での投票で、13,740票中55.5%を占めた「ピンク・白色」に決定しました。
柄は、「月」が1位、続いて「王冠」「飴玉」「騎士」「マカロン」……と続き、またアイデアには「ルーナイト」「ルーナイト紋章」「鍵盤の色」「かわいい」「タコ」などのキーワードが多く寄せられました。
これらの結果を受けて、ヤマハのデザイン研究所の坂本さんを中心にデザインが進められました。

デザインコンセプト・制作方法の決定へ

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ヤマハ本社(静岡県浜松市)のデザイン研究所、入口にはCP80など、現在も高い支持を集める往年の名器が立ち並ぶ

Q:デザインコンセプトを教えてください

坂本:「“姫森ルーナさんが演奏するエレクトーン”をテーマにデザインを行っています。これまで制作したキャラクターコンテンツとのコラボモデルではモデル・キャラクターをそのまま落とし込んだようなデザインを制作することがありましたが、そこでの知見を活かしつつ、今回はVTuberさんとご一緒するということで、実際に姫森ルーナさんが弾いているシーンをイメージしながら作っていきました。 また、すでにカバー株式会社(VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営する企業)のほうで描かれたルーナさん仕様のエレクトーンがあったので、それにもリスペクト・オマージュをしながら、要素を盛り込んでいきました。」

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2021年10月10日に行われた配信でのエレクトーン演奏の様子( 【姫森ルーナ生誕祭】沢山お祝いしてほしいのら!Luna's Birthday Live【ホロライブ】 より)

Q:オリジナルデザインの『LUNA』を制作した流れを教えてください
※こちらの工程は『LUNA』を制作する際の工程です。実際の楽器を作る工程とは異なります。

野藤:「まずデザイナーや組み立てを担当する技術サイドと制作方法について話し合います。これまでも、楽器にラッピング(車や電車などで使われる技術)を施したり、テープやフィルムなどでマスキングをして塗装したりしたことがあったのですが、元々の楽器の色によって、デザインの幅が左右されてしまう部分がありました。今回は投票でベースカラーがピンク・白に決まり、アンケートでも、『鍵盤に色を入れてほしい』という声がとても多く、既存の製品の上に塗装する形では実現が難しいと感じたので、思い切って部品の分解塗装を中心に行い、塗装できない一部部品は新たに成型を行うことにしました。」

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ヤマハでは過去にLovePiano・ストリートエレクトーンなどで、さまざまな塗装をしている

坂本:「次に、決まった要件をベースにしつつ、デザインの工程に入ります。数週間かけて、アンケートの結果を精査するほか、姫森ルーナさんの衣装を参考にしたり、ヤマハの技術者の意見を聞いたりするなどして、デザインをブラッシュアップしていきます。今回は分解塗装ということで、デザインの自由度がすごく高く楽しいお仕事でした。」

デザインの変遷を見ていこう!

坂本:「CGで何個もラフを創っていきました。自由回答にたくさんのアイデアをいただいたので、それを盛り込んでいくことでうまくブラッシュアップできたと思います。流れを見ていった方がわかりやすいと思うので、デザインの変遷を見ていきましょう。」

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坂本:「これが通常のELC-02の色です。」

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坂本:「これが初案の前のラフ案です。カラーを変えて少しだけルーナさんのモチーフを入れたのみで、まだまだ重さが残るかなと思います。」

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坂本:「アンケートでご意見が多かった『鍵盤に色を入れてほしい』を反映した形です。だいぶ印象に変化があるかなと思います。」

初案

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坂本:「こちらが初案です。シルエットや、ルーナイトさん、ルーナイト紋章などを散りばめてみました。これはこれで良いかもしれませんが、視線がいろいろなところにいってしまう印象です。」

第二案

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坂本:「姫森ルーナさんの王冠をモチーフにしたカラーを譜面台に入れてみました。ただ、譜面台の色が少し目立つ印象があります。このタイミングで、ルーナイトさんを足元に配置して方向性が徐々に見えてきました。」

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第三案

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坂本:「足鍵盤の色を変えたり、譜面台にソックスの模様を入れたり、ルーナイト紋章を本体の左手前に移したので、代わりにアンケートで要望の多かったかんざきひろ先生のタコパッパを配置しました。だいぶ今の形に近くなってきました。」
※かんざきひろ:イラストレーターで姫森ルーナのキャラクターデザインを担当している、タコをモチーフにした姿で姫森ルーナの配信画面の背景などに度々登場しファンからタコパッパの愛称で親しまれている

野藤:「足鍵盤とペダルを塗装して白にすることも考えましたが、演奏で頻繁に使われる部分ですし、より多くの方々に弾いてもらいたいので、実用性とバランスをとってグレーになっています。」

坂本:「このあと、『ルーナイト』さんと『タコパッパ』さんを足元に配置しました。社内にいるルーナさんファンの方の意見なども聞きながら、詰めていったのが次の完成版です。」

そして完成版へ

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坂本:「ルーナさんのイラストとにらめっこしながら、最終の色調整をして完成したのがこちらです。ソックスの模様などをエレクトーンのスタンドに反映させて、譜面台には髪色風のグラデーションを入れました。」

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ルーナさんの目の色や、左右で異なるソックスの模様を楽器のデザインに落とし込んでいる

いざ塗装本番!そして組み立てへ

野藤:「ここからは完成したデザインを元に塗装・組み立て工程に入っていきます。塗装したものなどを傷つけないように丁寧に一つ一つ手作業で組み立てます。こちらも画像を見ていただいた方がわかりやすいですね。」

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とてつもない量の部品を一つ一つ塗装し・成型していく

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このかまぼこみたいな部品を一本一本配置していくと……

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鍵盤部分が完成

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徐々にでき上がっていく様子は作業メンバーも感動ひとしお!

野藤:「分解塗装は、楽器を数百個の部品に分解して塗装し、成型していくので、特に塗装や組み立ての担当は相当ハードだったと思いますが、そのおかげで大変良いものができたと思います。」

それぞれのパーツを組み立てて完成!

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完成した「LUNA」モデル イスも同じように塗装されている

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譜面台には月を中心にホロライブとヤマハのロゴが並ぶ

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背面には姫森ルーナのロゴが入っている

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正面からパネル面全体を見てみると、いろいろなシルエットが描かれている

Q:ここは見てほしい!という点を、それぞれ教えてください。

坂本:「差し色として緑色と紫色が2つのホイールに入っていますが、これはルーナさんのオッドアイをイメージしています。また、左右の前脚はルーナさんのソックスをイメージしています。」

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座った際にルーナさんの衣装とマッチするようにデザインされている

坂本:「また、ファンの方なら少し違和感があるかもしれませんが、あくまでも“姫森ルーナさんが弾くエレクトーン”ということで、正面の姿をそのまま落とし込むのではなく、ルーナさんが演奏するために座った際に目の色合いやソックスの模様が一致してより映えるように反転されているのもポイントです。」

野藤:「とても細かいところまで、こだわりつくしてデザイン・塗装や成型をしている贅沢な仕様になっています。ぜひ細かいところまで注目して見てほしいです。また、描かれているシルエットはアンケートの得票順に大きさや数を調整するなど、回答いただいた皆さんの意見がしっかりと反映されていますので、アンケートの過去記事なども見ながらお楽しみいただけるとより楽しめるかなと思います。」

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細かい表示含め全て特別仕様のカラーとなっている

Q:最後にひとことずつメッセージをお願いします。

坂本:「色もとてもうまく出ていて、写真で見るより、実際に見ると、よりかわいらしさが際立っていて非常に満足できる仕上がりになっています。ぜひ、生で見ていただければうれしいです。」

野藤:「ELC-02の特徴として持ち運びやすいというのもあり、今後、いろいろなところに設置することを検討中です。皆さんが見たり・弾いたりして、エレクトーンや音楽をより身近に感じていただける機会になればいいなと思います。『月刊エレクトーン』などでホロライブ楽曲の楽譜も収録されていますので、ぜひ弾いてみてください。」

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『LUNA』の完成を見た姫森ルーナさんからのコメント

パステルカラーの水色とピンクがお洒落に配置されてるし、ルーナモチーフがふんだんに散りばめられて可愛さ満点すぎるのら♡
お気に入りポイントはルーナの靴下模様がデザインされてるとこ!
可愛すぎてずっと眺めてたいのらね♡

2023年2月、姫森ルーナさんの監修・ヤマハのデザイン研究所の坂本さんのデザインによる『LUNA』が完成しました!このエレクトーンは今後、ヤマハのお店や全国各地のイベントで、活躍する予定です。
展示スケジュールは、エレクトーンステーションなどヤマハのSNSや、ヤマハのスペシャルサイトに掲載しますので、ぜひ『LUNA』を見て、そして演奏をしてみてください。

撮影:小林みのる

関連情報

230313_luna_pro2_29.png姫森ルーナさんプロフィール
お菓子の国のお姫様。
甘えんぼで人懐っこいがわがままを言ってたびたび執事に怒られている。
月のアクセは、異世界の国のマークらしい?

【キャラクターデザイン】かんざきひろ(@kanzakihiro)
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連動企画:読者参加型企画「ルーナイトの楽器挑戦記」

「ルーナイトの楽器挑戦記」と題し、ルーナイト(姫森さんのファンの呼称)の方々のエピソードや演奏動画を、姫森さんの講評・感想を添えて「月刊エレクトーン」2023年3月号に掲載しています。

エレクトーン『LUNA』お披露目ツアー

■東京
2023年3月25日(土)・26日(日)
東京スカイツリータウン ウエストヤード1階 ハナミ坂ひろば 屋外特設テント内(東京都墨田区押上1-1-2)
※東武スカイツリーライン とうきょうスカイツリー駅が最寄りです。
※小雨決行、荒天時は展示場所変更または中止となります。

■大阪
2023年4月1日(土)~17日(月)
ヤマハミュージック 大阪なんば店(大阪府大阪市西区南堀江1-2-13)※火曜定休

■名古屋
2023年4月22日(土)~5月8日(月)
ヤマハミュージック 名古屋店(愛知県名古屋市中区錦1-18-28)※火曜定休

▼お披露目ツアーの詳細はこちら
https://jp.yamaha.com/products/contents/streaming/special_luna/index.html