
ヤマハのストリートピアノ「LovePiano®」とプリンスホテルがコラボレーションする「#たびきみ~旅先で君が奏でる物語~」のレポート第五弾。今回の舞台は、箱根の宿泊施設で最も標高の高い場所に佇む「箱根湯の花プリンスホテル」(設置は2026年6月17日まで)。
参加してくれたのは、音楽を共通の趣味とするご夫妻と叔母様。学生時代から支えてくれた叔母へ感謝を伝えたい——そんな思いを胸に、「LovePiano®」での演奏を披露する特別な旅へ出かけました。
「ありがとう」を伝えるための旅
箱根の山道を車でゆっくりと登っていくと、窓の外の景色は少しずつ街の喧騒から遠ざかり、深い緑に包まれていきます。標高935メートル。今回の舞台となる「箱根湯の花プリンスホテル」は、箱根エリアの宿泊施設のなかでも最も高い場所に位置し、四季折々の自然を身近に感じながら過ごせる隠れ家のようなホテルです。
この日ホテルを訪れたのは、田中智晃(たなか・ともあき)さん、妻の珠実(たまみ)さん、そして智晃さんの叔母の原田恵子(はらだ・けいこ)さん。
智晃さんは大学でピアノの歴史や音楽文化、音楽産業について研究しています。
日頃から音楽に深く関わる仕事をしているものの、自ら本格的にピアノを弾き始めたのは最近のことだそう。
「3年ほど前に、ある仕事の関係先からヤマハの電子ピアノをいただいたのがきっかけです。仕事柄、音楽や楽器に関する知識は持っているのに、『ピアノが弾けないのも説得力がないな…』と今さら思いまして(笑)」
そうにこやかに話す智晃さん。以来、ピアノの練習が日課になっているとか。
「私が自宅でテレビを見ていても、その後ろでヘッドホンをして熱心にピアノを弾いている姿があります」と、珠実さんも夫の熱心さに驚いたそう。
そして今回、その演奏を聴いてほしい相手として真っ先に思い浮かべたのが、智晃さんの叔母の恵子さんでした。
「お金に余裕がなかった学生時代、叔母が食料品などを送ってくれて、本当に助けてもらいました。母を早くに亡くした私にとって、叔母は母親のような存在なんです」(智晃さん)
学生の頃から、折に触れて気にかけてくれた恵子さん。研究者としての道を歩み始めてからも、その存在は智晃さんにとって大きな支えだったといいます。
「叔母とは今も定期的に旅行に行っているのですが、ピアノの演奏を見てもらうのは初めて。旅の思い出と共に、何か特別な形で恩返しができればと思っています」
箱根の豊かな自然に囲まれたホテルで、大切な人へ「ありがとう」を伝える旅が始まります。
感謝の気持ちを音色に乗せて
館内へ足を踏み入れると、木のぬくもりを感じる落ち着いた空間が広がります。
「箱根湯の花プリンスホテル」は和の趣を大切にした佇まいが特徴。窓の外には豊かな緑が広がり、耳を澄ませば鳥のさえずりが聞こえてくる静かな環境は、慌ただしい日常を離れて心をほどくのにぴったりです。
フロントを抜けた先にあるガラス張りのメインロビーには、今回の主役である「LovePiano®」がありました。
ガラスの向こうには、隣接する「箱根湯の花ゴルフ場」のグリーンが広がり、開放感も抜群。箱根の青空と木々の緑に5号機のイエローがベストマッチして、とても絵になる光景です。
仕事柄これまで数多くのピアノに触れてきた智晃さんも、興味深そうに鍵盤へと近づきます。
この日のために用意してきた曲は、『Scenery from My Window』。韓国ドラマ『冬のソナタ』の挿入歌で知られる作曲家イルマ(Yiruma)さんによる作品です。
静かに腰を下ろし、響きを確かめるように鍵盤へ手を添える智晃さん。ひと呼吸おいて演奏が始まると、穏やかな左手のアルペジオに乗せて、美しい旋律がゆっくりと空間へ広がっていきます。
「最近はペダルの使い方も意識して練習しているんです」
そう話していたとおり、やわらかな余韻をまとった音色が心地よく響き、外の景色とも不思議なほど調和していました。
この曲を練習し始めてから、すでに1年近く。演奏後に見せてもらった楽譜には、指番号やメモがぎっしりと書き込まれており、積み重ねてきた努力の跡がうかがえます。
本番ではその成果を発揮し、楽譜を見ることなく暗譜で演奏しきりました。
さらに、ショパンの『ノクターン第20番(遺作)』をアレンジした一曲も披露され、演奏は終了。
「緊張しました。練習ではもっと上手に弾けていたのに…」と照れ笑いを浮かべる智晃さんを、珠実さんと恵子さんがあたたかく迎えます。
お世話になった叔母の前で初めて披露したピアノ。
「こんなに才能があるとは!素晴らしかったです」と、演奏を終えた智晃さんを恵子さんがねぎらう姿も印象的でした。
演奏後の余韻に浸りながら
この旅の大きな目的だった演奏を終え、ほっとひと息ついた三人。続いて向かったのは、「#たびきみ」のお楽しみのひとつ、「LovePiano®」とのコラボスイーツが楽しめる宿泊者専用ラウンジです。
提供されたのは、「箱根湯の花ゴルフ場」の美しいフェアウェイと、箱根の豊かな自然を表現した特別な一皿。「LovePiano®」をイメージした音符のデコレーションも添えられ、見た目にも楽しいスイーツです。
お腹も満たされたところで、今度は館内を散策してみることに。
ユニークな竹の鳥居がシンボルの中庭を歩いていると、駒ヶ岳から吹き下ろす風の心地よさが感じられ、いっそう爽やかな気分に。美しく苔むした小径は、思わず足を止めたくなるような趣があります。
風でさわさわと木々が揺れる音と、小鳥のさえずり。その合間から、ロビーに置かれた「LovePiano®」の音色がかすかに聞こえてきます。
「本当に静かで、いいところですね。歩いているだけで身も心も癒されます」(恵子さん)
それぞれがこの場所ならではの穏やかな時間を楽しんでいる様子でした。
和楽器×ピアノのコラボレーション
この日は「箱根湯の花プリンスホテル」への「LovePiano®」設置を記念して、「ピアノ尺八INFINITY」によるスペシャルコンサートが開催されました。
「ピアノ尺八INFINITY」は、尺八・篠笛アーティストの山口整萌(せいも)さん、ピアニストの小瀧俊治さんによるインストゥルメンタルユニット。2020年には、世界初となる528Hzに調律された尺八(篠笛)とピアノによるアルバムをリリースし、日本と台湾のiTunes New Age部門で1位を獲得するなど、国内外で注目を集めています。
全2回のコンサートでは、『Minamo』『萌木色のワルツ』をはじめとするオリジナル曲を中心に各5曲を披露。普段なかなか聴く機会のない和楽器とピアノの共演に、会場を訪れた観客はもちろん、その場に居合わせた外国人ファミリーやゴルフ利用の方も興味深そうに耳を傾けていました。
「尺八があんなに広い音域を持っているなんて驚きです」と、コンサートを鑑賞した智晃さんも興味津々。新たな発見のある時間になったようです。演奏の様子はこちらから無料でご視聴いただけます。
和の趣のホテルで過ごした、特別なひととき
翌日も、雲一つない晴天に恵まれた箱根。湿度が低いためからりと心地よい朝を迎えました。
ホテルチェックアウト後、三人に今回の旅の感想を伺うことに。
「温泉に入るのを楽しみにしていたのですが、にごり湯ですごく心地よかったです。さすが“美肌の湯”。お肌もツルツルになった気がします(笑)」(珠実さん)
「夜の会席料理も本当に美味しかったです。朝食もバイキングではなくしっかりとした御膳で、朝からバランスのいい和食がいただけて嬉しかったです」(恵子さん)

実は、普段からプリンスホテルをよく利用しているという田中さんご夫妻。今回も、前日に「大磯プリンスホテル」に宿泊し、そのまま車で箱根まで足を延ばしたそうです。
「『箱根湯の花プリンスホテル』には初めて泊まらせていただいたのですが、和の雰囲気がめずらしくて気に入りました。『また三人で来たいね』と話しています」(智晃さん)
「LovePiano®」での体験についても、「本当にいい思い出になりました」と、改めて感想を教えてくれました。
「ストリートピアノには国内や海外の出張先で何度か挑戦したことがあるのですが、こんなに景色のいい場所で弾いたのは初めてでした。貴重な経験になりましたし、叔母にも喜んでもらえて良かったです」
恵子さんも智晃さんの言葉を受けて、「智晃さんを小さい頃から知っているので、『成長したんだな』と感動しました。何に対しても努力ができるのは、素晴らしいことだと思います」と、感慨深げな様子。
最後に、智晃さんに「今後は音楽を通じてどんなことをしてみたいですか?」と伺うと、少し考えたあと、「とにかくいろんなピアノを弾きたいです」と話してくれました。
研究者として、また一人の演奏者としても、ピアノへの興味は尽きないようです。
お世話になった人へ、感謝の気持ちを伝える旅。箱根の豊かな自然に囲まれたホテルで奏でられた一曲には、これまで言葉だけでは伝えきれなかった「ありがとう」が込められていました。
音楽がつないだ三人の特別な時間。その温かな思い出は、これからもそれぞれの心に残り続けることでしょう。次回の「#たびきみ」レポートもお楽しみに!
文:瀬尾麻美
写真:松岡大海(地代所プロダクション)
箱根湯の花プリンスホテル(神奈川県足柄下郡)

箱根十七湯の一つ、湯の花沢温泉に佇む天空の温泉宿。豊かな自然に囲まれた静かな環境のなかで、温泉や食事を楽しみながら、ゆったりと心身をリフレッシュできます。
また、ホテルでは温泉の蒸気や沢の水といった自然の恵みを活用し、温泉の供給だけでなく、館内の空調や給湯、発電にも利用。豊かな自然と共生するサステナブルな取り組みも、このホテルならではの魅力です。
畳敷きの大広間に椅子・テーブルが配置されたモダンなお食事処で、滝の流れる庭を眺めながら、季節を感じる彩り豊かな会席料理に舌鼓。
温泉旅館のように浴衣姿でくつろぎながらいただく新鮮なお造りやしゃぶしゃぶ鍋は、旅先ならではの贅沢です。

乳白色のにごり湯は、“美肌の湯”として評判。単純硫黄泉で発汗作用が高く、湯冷めしにくいのが特徴です。2025年5月には男女ともに露天風呂がリニューアル。昼は箱根の山々と森の緑、夜は満天の星空を眺めながら、非日常のひとときに浸れます。

ホテルに隣接する「箱根湯の花ゴルフ場」は、標高935mに位置する箱根屈指の高原コース。箱根駒ヶ岳を背に、眼下には相模湾や江の島を望む絶景のなか、18ホールのプレーを満喫できます。

創業1814年の小田原かまぼこの老舗「籠清(かごせい)」から毎日仕入れるかまぼこをはじめ、地産地消の恵みが満載の和朝食。