
ソロ、室内楽、オーケストラと幅広く活躍するチェリスト笹沼樹と、世界的チェリストのヨハネス・モーザーが、2026年10月22日にヤマハホールでデュオ・コンサートを行う。この公演について笹沼さんに話を伺った。
日本とパリで活躍する笹沼樹
現在、笹沼は日本だけでなくパリにも拠点を置き、ヨーロッパ各地の音楽祭に出演するなど、国際的に活動の場を広げている。
「2024年にパリ・エコールノルマル音楽院での学生生活が終わり、今後どうしようかと考えたときに、師匠(アンリ・ドゥマルケット)をはじめいろいろな方々との出会いに恵まれたパリで、もう少しやりたいことに挑戦してみようと思い立って。パリでの毎日は刺激的ですし、地方の小さな村で開かれるような音楽祭はあたたかい手づくり感いっぱいで、マイペースな音楽家たちに囲まれて楽しく過ごしています」
2026年6月にはフランスのレーベルからニュー・アルバム『シューマン:詩人の恋』をリリースしたばかりだが、この企画の発端は2020年のコロナ禍にさかのぼるという。
「コンサートがすべて中止になってしまい、家でなにかできないかと、バッハの誕生日に無伴奏チェロ組曲第1番のプレリュードを録音してネットに投稿しました。そしてSNSで“癒された”“元気になった”と感想をいただいたとき、コンサートでお客さんに聴いていただくのと同じ感覚だなと思ったんです。“ああ、やっぱり僕はこれを欲していたんだ。これがないとダメなんだ”と気づいて、毎日1曲ずつ、演奏を投稿していきました。バッハの組曲を全曲投稿し終えて、次に取り組んだのが『詩人の恋』。高校の時の同級生にピアノを弾いてもらい、音源を送ってもらったものに自分の音を重ねて、自分で訳した歌詞も合わせて投稿しました。その後、コンサートでも『詩人の恋』をレパートリーに入れるようになり、パリでのリサイタルを聴いたプロデューサーからレコーディングのお話をいただいて、アルバムとして結実したという経緯です」

サイレントチェロも駆使して、プログラム全体でひとつの舞台作品にする
この10月22日には世界的チェリスト、ヨハネス・モーザーとの初のデュオ・コンサートがヤマハホールで実現するというから楽しみだ。
「僕もモーザーさんも、ヤマハのサイレントチェロ『SVC300』のアンバサダーとして楽器の演奏動画に出演していて、そのご縁で共演の企画が立ち上がりました。モーザーさんといえば世界中を飛び回るソリストで、どんな曲も軽々と演奏してしまう高い機動力をもち、さまざまなことにパッションをもって活動するチェリストというイメージ。まだお会いしたことはなく、電話で話しただけですが、この夏にヨーロッパでお会いして、今回のプログラムについて打ち合わせをする予定です」
Yamaha SILENT Cello ™ SVC300 | Tatsuki Sasanuma Plays Bach — Two Voices, Built for the Stage
プログラムには、エレン・リードとアニー・ゴスフィードという現代の作曲家がモーザーのために書いたエレクトリックチェロの作品が入っている。
「現代作品の初演も多く手がけるモーザーさんですが、エレクトリックチェロの作品を集めたアルバムを出していらっしゃることは、今回はじめて知りました。『僕のアルバムの中で気に入った曲があったら弾いていいよ』と言っていただいたので、サイレントチェロのデュオで演奏できたらと思っていますが、細かいところはまだ何も決まっていないんですよ(笑)。僕にとっては、サイレントチェロも従来のアコースティックチェロの延長線上にあって、クラシック作品をひと味違ったカッコいいテイストで演奏できる楽器という認識ですが、モーザーさんはエレクトリックチェロというまったく新しいジャンルを確立しているところが面白いですね」

ヨハネス・モーザー
そのほか、バリエール『2本のチェロのためのソナタ』とパガニーニ『ロッシーニの「モーゼ」の主題による変奏曲』はアコースティックチェロによるデュオ、マーク・サマー『ジュリー・オー』と黛敏郎『BUNRAKU』はサイレントチェロで演奏してみたいと語る。
「アコースティックの2曲は、モーザーさんと弾いてみたい曲ということで僕から提案させていただきました。パガニーニはソロのパートはA線だけで弾くという技巧的な作品ですが、ソロと伴奏のパートを互いに交換して弾こうと思っています。マーク・サマーと黛敏郎も、サイレントチェロで弾いたらどんな感じだろう?という僕の個人的興味からプログラムに入れてみました」
笹沼はこれまでにもヤマハホールでサイレントチェロを使ったコンサートを行っており、試行錯誤しながら音響を作り上げていく実験場として、ヤマハホールほど適した場所はないと語る。
「2025年の2月にギタリストの秋田勇魚さんとヤマハホールでデュオ・コンサートをした際、リハーサルの過程で次々と新しいアイデアが出てくるたびに、それぞれ専門のスタッフが楽器や機材をもってきて、その場で実現してくださるんです。今回のプログラムにおいても、1曲ずつ独立して演奏するのではなく、サイレントチェロを演出の要素として使いながら、プログラム全体でひとつの舞台作品になるような、没入感を体験していただけたらと思っています」
創造意欲あふれるふたりのスター・チェリストの出会いから、どんな化学反応が生まれるのだろうか。期待は尽きない。
■ 珠玉のリサイタル&室内楽
笹沼樹&ヨハネス・モーザー
チェロデュオ・コンサート

日時:2026年10月22日(木)19:00開演(18:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
出演:笹沼樹/ヨハネス・モーザー(チェロ)
料金(税込):6,000円(税込・全席指定)
曲目:
J.バリエール/2本のチェロのためのソナタ ト長調
N.パガニーニ/ロッシーニの「モーゼ」の主題による変奏曲
エレン・リード/Somewhere There Is Something Else
アニー・ゴスフィード/Ghost Radios and Audio Mirages
マーク・サマー/ジュリー・オー
黛敏郎/BUNRAKU
ほか
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■ 優待チケットの特別販売
本公演の優待チケット(一般:定価6,000円/優待価格5,000円)を計20枚ご用意いたしました。
ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。
※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。
応募期間:2026年9月23日(水)23:59まで
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photo/ 阿部雄介(1~2枚目)
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