
「Shikinami(しきなみ)」は、国立音楽大学の同級生だった白須今(バイオリン)、野口明生(ピアノ)、堤博明(ギター)の3人で2006年に結成されたインストゥルメンタル・ユニット。それぞれの楽器の魅力を活かした創作と演奏から生み出されるサウンドは、多くの聴衆を魅了している。各々の活動も活発で、白須は奏者としてはもちろん、舞台の音楽監督を務めるなど活動を広げ、野口はピアノに限らず多彩な管楽器を操り、劇伴奏者としても高い評価を得ている。そして堤はアニメや映画、ドラマの劇伴作曲家として人気を集めている。多忙な3人だが、今年はユニット結成20周年を迎え、ミニアルバムのリリースが決定。新譜と、2026年5月に開催されるコンサートについて話を聞いた。
あたたかく心を揺さぶられる楽曲たちはどう作られているのか
Shikinamiというユニット名は「重浪」(重なり合い、絶えず波を立てているという意味)に由来する。3人の音を世の中の流れに重ね、聴く人の心に届けていきたいという想いが込められているのだそうだ。ユニットは大学3年生のときに結成された。
「まず白須くんとは『モダンジャズ研究会』というサークルで一緒だったのですが、サークル内でバンドを組み、演奏活動もしていました。野口くんとは『即興演奏法』という授業が一緒で、その即興の素晴らしさでよく先生を涙させているのが印象的でした」(堤)
「即興は昔から好きでしたね。作曲は高校時代に習ったこともありますが、ほぼ独学です」(野口)
「あるとき堤くんが『すごいピアニストがいるから』と野口くんを紹介してくれて、初対面から即興で初セッションしたらとてもよくて、そこから自然と一緒にやろうという流れになりましたね」(白須)

堤博明さん(ギター)
2026年3月にリリースされるアルバムを聴くと、Shikinamiのサウンドはとてもあたたかく心を揺さぶられるものがあると感じる。どのように作曲されているのだろうか。
「基本的に作曲は3人でセッションしながら作っていくことが多いですが、なかでも白須くんと野口くんが持っているクラシック音楽や映画音楽に対する知識や感性の影響は大きいですね」(堤)
「ふとしたときに“この曲いいな”と思ってもらえるような曲を生み出したいと思って制作していますね」(野口)
アルバムの一曲目『五十鈴川』はこれまでのライブでも数多く演奏されてきた、いわばShikinamiの代表作ともいえる曲だ。
「『五十鈴川』は結成したばかりの頃に生まれた作品で、ずっと大切に演奏してきました。実は、この曲は私が伊勢神宮の神主さんと文通をしていたことがきっかけで生まれたものなのです。神主さんが私たちの音楽を聴いたときに “和”を感じると仰って、ぜひそれを押し出した曲を書いてほしいとリクエストをくださったのです。その後、伊勢神宮で演奏させていただく機会があり、その際には自分たちで『五十鈴川』を収録したCD-Rを用意して、ラベルにシールを貼りお客様に配ったりもしました」(白須)

白須今さん(バイオリン)
ほかに『母の日』、『おかげさん』の2曲が収録されている。こちらはより映画音楽やヒーリングミュージックのようなやさしさを感じる。
「『母の日』はシンプルに母の日のプレゼントに曲を作ろうと3人で学校内にある練習室でセッションしながら作った曲なのです。『おかげさん』は他の2曲よりもあとにできたものですね」(堤)
「伊勢に『おかげ横丁』というところがあるのですが、白須くんがそれをイメージした原曲を作って持ってきて、セッションしてできた楽曲です」(野口)
結成20周年とミニアルバム発売を記念し、ヤマハホールでコンサートを開催
これまで数多くのオリジナル曲を制作しているShikinamiだが、今回の3曲はどうやって決定されたのだろうか。
「『母の日』や『おかげさん』は我々の作品の中でもとくにライブで演奏する回数が多く、3人の気持ちがとても重なるのを感じる曲でもあるのですが、これだけだとヒーリング色が強いものになってしまうなと感じました。そこでShikinamiのサウンドのなかで大切にしている“和”の部分が発揮された『五十鈴川』を入れようということになったのです」(白須)
「おそらく「五十鈴川」はいちばんShikinamiらしさが出た、私たちの軸になる曲ではないでしょうか」(堤)
「私も、『五十鈴川』はほかのバンドにない音づくりができている曲だと思います」(野口)
「今回収録するにあたり、『母の日』と『おかげさん』はこれまでよく演奏してきたアレンジで演奏しているのですが、『五十鈴川』はかなり新しいアレンジにしました。これまで聴いてきてくださったファンの方はもしかしたら驚かれるかもしれません」(堤)
「3人がそれぞれ新しい奏法にチャレンジしていたり、私が今回笛を吹いたりなど、パートをかなり増やしています。録音芸術であるCDだからこそできることですね」(野口)

野口明生さん(ピアノ)
2026年5月にはヤマハホールで4回目となるコンサート「Shikinami Spring Concert vol.4 〜Celebrating the Mini Album Release〜」が行われる。
「プログラムはまだ調整中ですが、今回のアルバムの3曲はもちろん、いつもよりもオリジナル曲の割合を増やしたいと思っているところです。できれば新曲も入れたい。前回に続き、今回もゲストに佐藤隆紀さん(LE VELVETS/テノール)をお迎えします」(白須)
「佐藤くんは学生時代から仲が良くて、我々の結成ライブにも来てくれました。3年前にもゲストでお招きしましたが、今回も映画音楽などいろいろな楽曲でご一緒させていただきます」(野口)
「今後も“和”のサウンドはベースに置きつついろいろな挑戦をしていきたいですね。ヤマハホールでの演奏は4回目ですが、ホールの響きと雰囲気がすばらしく、毎回とても助けられています。そのような場所で20周年とアルバム発売記念コンサートを行えることが今からとても楽しみです」(堤)
今後は映画や朗読にShikinamiとしての音楽をのせることにも挑戦していきたいと語ってくれた。節目の年を迎え、さらに活動を活発化させてくれることに期待が膨らむ。

Shikinami
■ミニアルバム『Shikinami』

発売元:TRISCENE INC.
発売日:2026年3月10日(火)
価格:1,650円(税込)
配信はこちら
■Shikinami Spring Concert vol.4 〜Celebrating the Mini Album Release〜
日時:2026年5月5日(火・祝)15:00開演(14:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金(税込):一般 7,000円 U25 5,000円
詳細はこちら
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