• トップ >
  • イベント一覧 >
  • イベント詳細

イベントレポート

レクチャー付きでオペラを堪能した「はじめてのオペラ@新国立劇場」~ 2016年12月4日開催 ~

管楽器づくしの旅2016秋


ヤマハミュージックメンバーズ会員限定のイベント「はじめてのオペラ@新国立劇場」が、2016年12月4日に新国立劇場(東京・初台)で開催されました。

今回のイベントでは、日本唯一の国立オペラハウスを擁する新国立劇場の音楽スタッフが、オペラの基礎や楽しみ方などを解説。劇場内レストランでランチを楽しんだ後、ロッシーニ随一の人気作であり、オペラ・ブッファ(喜劇)の最高傑作『セビリアの理髪師』を鑑賞しました。

この日、ホワイエに特別に設けられた会場でレクチャーをしてくださったのは、新国立劇場音楽チーフであり、指揮者でもある城谷正博さん。年間約10演目のオペラを上演する同劇場で、指揮者や歌手のサポートを担い、ときには自らがマエストロとなってオペラの音楽づくり全般を統括する、いわばオペラのプロフェッショナルです。

登場とともに会場に設置されたピアノに向かった城谷さんは、いきなり『セビリアの理髪師』の有名な序曲の一部を披露し、参加者たちをオペラの世界へと誘います。サプライズとともに始まったレクチャーに、会場は嬉しい驚きと大きな拍手に包まれました。

続いて、「オペラとは何か?」にはじまる基礎知識を、ときにユーモアを交えながらやさしく解説。さらに、あらすじを読んだだけではわからない興味深い内容が次々に飛び出しました。そして真骨頂はなんといっても、ピアノを演奏しながら、そして時には歌を歌いながらロッシーニの音楽の特徴や『セビリアの理髪師』の聴きどころについて紹介していた点でしょう。

「アリアとは登場するときの名刺代わりとでもいったらいいでしょうか。自分がどんな性格なのかを表す特徴的な歌です。ぜひ、アリアを楽しんでいただきたいと思います」

ほかにも、ロッシーニが得意とした短いフレーズを繰り返しながら音量を増していく「ロッシーニ・クレッシェンド」や、あまりにも難しいため、初演からしばらくの間は別のアリアに差し替えられていたという早口のアリア、ロッシーニが場面を転換する際に効果的に活用した嵐の音楽といった、『セビリアの理髪師』を楽しむための“ツボ”がピアノ演奏などとともに紹介されました。

「鑑賞前にこんなに聴いていいの?と思われるもしれませんが、生の演奏は迫力が全然違いますから、ぜひ楽しみにしていただければと思います」と城谷さん。1時間のレクチャーは参加者にとって、オペラやこれから鑑賞する演目の魅力を存分に感じることができる、非常に興味深い内容だったようです。

劇場内のイタリアンレストランでゆっくりとランチを楽しんだ後は、いよいよオペラ鑑賞です。今年は、『セビリアの理髪師』の初上演から200年を迎える記念すべき年。常に最高水準のオペラを上演してきた新国立劇場は、期待を寄せる観客で埋め尽くされていました。

「ロッシーニ・クレッシェンド」で盛り上がる序曲にはじまり、第1幕ではフィガロのアリア、「ロッシーニ・クレッシェンド」が特徴的なドン・バジリオ(音楽教師)のアリア、早口で畳みかけるバルトロ(医師)のアリアなど、レクチャーでも聴いた曲とともに恋の物語が繰り広げられていきます。その声の妙技が観客を惹きつけます。

「オペラの特徴のひとつは、演出家がそれぞれ作品を解釈して舞台をつくること」と城谷さんが話していた通り、カラフルでポップ、コミカルなケップリンガーによる演出も印象的。客席からは、ときおり笑いもわき起こりました。

オペラ『セビリアの理髪師』第一幕より
撮影:寺司 正彦/提供:新国立劇場

第1幕後の休憩タイムには、特別に用意された貸切のサロンで軽食やスイーツ、ワインやドリンクなどでひと息。この日の公演で副指揮者を務めていた城谷さんもサロンに来てくださり、参加された方と歓談。写真撮影にも笑顔で応じるなど、終始和やかな雰囲気でした。

続く第2幕では、恋を成就させようとするアルマヴィーヴァ伯爵がさまざまな変装をします。レクチャーによれば、最大の見どころは、その伯爵によるアリア『もう逆らうのはやめよ』。『セビリアの理髪師』は新国立劇場では2005年に初演されて以来、今回が4回目の上演となりますが、このアリアはあまりに難しすぎるため、これまでカットして上演してきたのだそうです。

今回は、ロッシーニのスペシャリストとして世界中で活躍するマキシム・ミロノフがアルマヴィーヴァ伯爵役を務め、超絶技巧の8分半にも及ぶアリアを披露。その気品と存在感あふれる歌声に、劇場は割れんばかりの拍手に包まれました。

オペラ『セビリアの理髪師』第二幕より
撮影:寺司 正彦/提供:新国立劇場


今回のイベントには、おひとりでの参加やご友人同士、ご家族などさまざまな方が全国各地から集まりました。おひとりで参加された方からは、「オペラ鑑賞はひとりでは敷居が高いので、こうしたイベントはとてもいいと思います」といった声も。また、多くの方にとってレクチャーは非常に有意義だったようです。「オーケストラは聴いていましたが、実はオペラはそれほど好きではなかったんです。今回は、楽しみ方を教えていただきました」「見どころ、聴きどころを教えていただいたおかげで、何倍も楽しめました」「劇場の中でお仕事をしている方からお話をうかがうのはめったにない機会」といった感想も聞かれました。
オペラ初心者はもちろん、オペラ通の方にとっても充実した1日となったようです。

文 福田素子
写真 福知彰子

日程

内容

参加費